「虧来い!」
「えッ?!はい!!」

会議が終わるなり、虧は燭に力強く腕を引かれた。


「待て・・平門!!」

「どういうつもりだ!!」
「何がですか?燭さん」

「会議で殺すと言った件だ!!

 お前の言うようにわたしにとって「无」の価値はサンプルでしかない 利用し尽くすつもりだ!だが命を奪うという事は 己の都合で決めていい事ではない!!」
「お綺麗ですね」

「なんだと…?」

平門の発言に燭は眉間にシワを増やした。
虧は、この状況を楽しむでもなくただ見ていた。
心の中では平門の「燭先生は綺麗」発言に同意しつつ、燭が平門にいいようにされないよう祈っていた。

「貴方は命を護る側の人だ。俺は奪う側の人間なので、相違は仕方ありませんね」

そう言って燭のネクタイを自身の胸に当てながらお辞儀をする平門。

「貴様の為に…っ、「慇懃無礼」という言葉があるな…!」

「では、お先に燭さん。ああ、虧、無事に燭さんを研案塔に送るように。」
「分かってます!」


平門に勢いよく返す虧。
なんとなく平門の言葉が耳に残っていた。



あれから、朔とも話をし、虧は燭と共に研案塔に向かっていた。


「私も、命を奪う側なんですよね・・」
「なんだ、いきなり」

「いや、平門さんが言ってたことを考えてまして。」

円卓でも思ったことだ。
自分たち輪と、研案塔の燭とでは考え方やとる行動も違う。

「お前は何故、輪に入り闘っている。それを忘れたのか?」
「忘れてなんかいない・・です。でもやっぱり、」
「・・・。お前は何と言って戦場に出る」

「え・・?」

「何と言って闘うのだと聞いているのだ、虧」



燭に言われ、虧は心の中で自分の口上を思いだしていた。

そうだ・・。


やり方は違えど、自分が輪にいることで救える命はあるのだ。

「やっぱり、私燭先生好きだな〜」



ニヤッと笑った虧に、燭は一言「締りがない」と返した。



07:円卓





mae | tugi



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