「お、そうそう」


「はい?」

「虧に迎えが来てたんだ」
「ハ?」

朔の言葉に虧は素っ頓狂な声を上げた。


「(・・迎え?)」


「帰りますよ虧」

「ゲッ!平門さん!!」


「なんだその顔!馬鹿っぽいぞ〜虧」

「ちょっと!喰いるし、てゆーかそれ以前に1人で帰れるし!」
「いや、まだ体も辛いだろう。ほら、手を」
「差し出さないで下さい・・!!」

必死に平門に対して抵抗をしてみる虧だったが、朔にポンッと腰を押され、見事平門の胸にダイブしてしまった・・!


「さ、行きましょう」
「ちょっ・・と!! 朔さんコノヤロー!一生恨んでやるからー!!」

「そうかそうか〜楽しみにしているぞ〜」

「ふざけないで下さいッ!!!」

平門に腰をガッチリつかまれ歩く虧を見ながら朔は心底楽しそうに笑っている。



「朔ちゃんお酒でも入ってるんですぅ?」

そんな朔を怪しむような目でキイチは見ていた。


「お!酒か!いいな〜!酒飲むか〜!」
「ちょっと!何おかしな方に話を変換してるんですかぁ!! 朔ちゃん待ちなさいですう!!!」





「平門さん!ちょっ!!離して下さい!!!!」

「駄目ですよ。私は上司として、虧をしっかりと貳組まで運ぶ義務がありますから」
「そんな義務いりません!!ホラ!腰!触りすぎじゃないですか!? セクハラでイヴァに言いつけます!」
「残念ながらイヴァは今外に出ていていないですよ」
「なあああ!!!!」

あっちではキイチと朔が、こっちでは虧と平門が言い合う中、喰は1人静かにこの状況を楽しみながら壱組を後にしたのだった。



「さあ、虧お姫様だっこでもしますか」


「いりますかそんなものおおおッ!!!!」

虧の悲鳴が壱組に響き渡った。



43:姫抱





mae | tugi



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