手を伸ばした・・。
この幸せを失いたくなくて――ッ!!
「いやッ・・いやだ!!」
グンッ!! と伸ばした手は、虚空をさまよった。
「――――っえ」
虧!!
虧ッ!!!!
虧ちゃんッ――!!!!
頭に直接響く声は止まない。
「(止めてッ!誰なの・・ッ!!)」
黙って!!!!!
もう一度振りかざした手、
「―――ッ!!」
それを、掴まれた・・・。
「・・・虧、」
「…ダ、レ」
目の前に居るのは、大好きなお母さんではない・・。
薄いピンク色の髪をした、白く輝く白衣を着た男性。
「・・ッ、すまない、虧・・・・・」
「なんで、・・アナタが謝る、の…」
「俺の勝手だ。・・だが、」
「目を、醒ましてくれ・・ッ!!」
涙を流している様には見えない・・。
でも、
彼の心は酷く泣いているようだった――――…。
mae | tugi