「虧!目を開けるんだ虧!」
「虧!!」
研案塔の一室にはドッと人が押し寄せ、それぞれが虧の名前を呼んだ。
「燭さん!」
「平門か、それで、」
「ええ分かりました。虧の捕えたヴァルガの能力は、アイツが触れた者に夢を見せるもの」
「夢、だと・・」
「はい。本人の心の奥底に眠る願望を夢にして見せ、そこへ留まらせるというモノです。」
「それじゃあ、虧はこれから目覚めない、ということなんですか」
平門の言葉に喰が聞き返した。
「そうゆうことだ。」
「・・でも、」
喰は虧を見た。
「なんとかならないの、平門」
側にいるツクモも必死に平門に問いかけた。
「これは、」
「虧の気力次第、というわけだ・・。」
それに答えたのは燭だった。
「虧、」
ツクモがそっと虧の手を握った。
「・・・。目を開けなよ、」
そう言ったのは喰だ。
「虧ちゃん!!!!!」
「虧ちゃんッ!!」
「虧ッ!」
そこに突撃してきたのが與儀、无、花礫だった。
「病室では静かにのぉ!」
「虧ちゃん・・」
无も心配そうに虧に駆け寄った。
「喰くん、虧ちゃん」
「大丈夫だよ、无君」
「・・うん。」
「それで!虧ちゃんはどうなの!?」
「ああ、」
「呼びかけるのぉ!」
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