「………分かった。君たちは外へ出ていろ」

「分かりました。」

頷き、部屋を後にするナースの姿を確認し、私は虧に向き直った。



「虧だな」
「…………ッ」

涙を浮かべ、髪を振り乱して暴れていた虧は、少しこちらを睨んでいるようにも見えた。

「私がッ!!」
「ん?」

「私がッ!!!あんなものをッ、創ろうなんて、、思ったから・・!!」

「・・・。」

「私のせいでみんながッ―――!!」

「やめろ!!」


点滴の針が刺さった右腕を振り上げる虧の手を、燭は咄嗟に取った。

「お前のせいではない!」
「なんでッ・・!! 私の、せいじゃないッ!!!」
「やめろ!お前のせいではないッ!!」
「離してよ!!」

「虧!!」

「―――ッ!!?」


今までで一番の声を張り上げた燭。
それに虧はビクリッと肩を震わせた。


「・・ッ、ふ・・・・っ」

「すまなかった・・。」
「――ッ」

そして、フワッと抱き寄せられ、虧は目を丸くした。


「すまなかった・・・・」

“何が”すまないのか。
何故自分が謝られるのか… 虧はハッキリと分からなかった。

しかし、燭の体から香る消毒の香りや、温かさに安心し、ソッと虧は目を閉じた。





「・・・、」

それからどれ位経ったのだろうか、目を覚ました虧が見たのは、自分の隣でしっかりと虧の右手を握って眠っている燭の姿だった。


「・・せんせ、い」




そんな燭に、小さな声で虧はその名前だけを呼び掛けた。



mae | tugi



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