「さあ!虧!」

「ちょっと!待ってイヴァ!!」
「待たないわよ!燭先生もいるんだから!」

「だからッ!こんな格好で、パーティなんて行きたくない!!」

「虧、」

パシッとイヴァの手を撥ね退ける虧を見て、居合わせた无、與儀、喰は驚いた表情で虧を見た。

「どうして?」
「綺麗じゃないし、場違い・・。」

虧はきゅっとドレスの裾を握る。


「そんなこと、」

「そんなこと誰が言った?」

「燭センセイ!!」


すると、言い合いをしていた廊下に燭が現れた。

「虧、行くぞ」
「ハッ!?えええ!!?」

度肝を抜かれた虧は、気が抜けたままに燭に腕を掴まれ、パーティ会場へと引っ張られてしまったのだった。



「燭先生ッ!!」

静止の声を出す虧だったが、燭は腕を引くことを止めなかった。



「燭先生ったら、」
「まあ、いい方に転ぶかな?」

それを見送るイヴァと喰は肩をすくめた。





「・・・・っと!」

「ダンスを踊るのだろう?」
「ええッ!? でも・・」

もう一度自分の格好を見て虧は目を伏せた。
やはり、服はすすけていた。


「ゆくぞ、」
「・・・ッ」

音楽が部屋を満たすのと同時に、燭にエスコートされながら虧は足を動かした。

「あ、・・・・あの、燭先生、」
「何だ?」
「嫌、じゃないんです・・か?」
「言っている意味が分からないが」

「・・・。」

その言葉を最後に、2人は黙って踊り続けた。



mae | tugi



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