「………………。」
「なに見てんだよ?」
「うわあっ!!」
某テレビ番組の、「予算内で買い物をする」企画の撮影が終わってから、私はあるパ−ティグッズを手に、眉間にシワを寄せていた。
「ビックリした−!!」
「へへっ!!俺様を無視するからだ!」
「無視してた…?」
「思いっきりな!!」
久しぶりにロケが一緒になった翔ちゃん。
歯を見せて笑うその笑顔はやっぱり素敵だ。
「てか、それなんだよ?」
「ん?……ねこみみ。」
「お前…!とうとうそんなところまで趣味を拡大したのかっ!?」
「してないし!しないし!」
わざとらしく私から距離をおく翔ちゃんに、軽く蹴りをいれてやった。
早乙女学園に通ってた時は、いつもこんな感じだったな……。
私は、未だに手に持っている黒のねこみみをふりまわしながら、フとそんなことを思った。
「で、それ買うのか?」
「買おうかな。」
特に深い意味はない。
なんとなく、これをあの居候につけたらめちゃくちゃ似合いそうだな。って思っただけ。
「もう俺はなにも言わない!」
「さすが翔ちゃん、漢だね」
「おう!!」
「あ、そうだ。お前今日仕事まだあんの?」
「うん。これからラジオの収録」
「ああ、そっか。じゃあ無理か。」
「何が?」
「最近さ、超美味しい鉄板焼の店見つけたんだ!だから、真琴が時間あるなら久しぶりに一緒に飯食わねぇかなって思ったんだけど、」
「鉄板焼かぁ……、いいなぁ」
「ま、今日は急だし、ちゃんと予定合わせて行かね?」
「行く行く!」
「んじゃ!仕事頑張れよ、真琴!」
「翔ちゃんもね!」
ああ……、翔ちゃんはやっぱりいい男だな。
★★★