「真琴ちゃ―――んっ!!」



グシャアッ!!!


「真琴ちゃん早く−!!」



「……………」


なんであの時、私は首を縦にふったのだろう。
体を洗いおえたらしいHAYATOが、早くきて−!と私を呼ぶ。私はといえば、持っていたビ−ルの缶を握りつぶしていた。無意識に。


「わかってるよ、」


後頭部がふわふわする感じがする…。
缶ビ−ル一本でこの様……、かなり恥ずかしい。
いや……、いつもはこんなすぐ酔わないんだけど…。


変だ………。

と心のなかでボヤきながらHAYATOの待つお風呂場へ向かう。


「えっへへ〜!洗って!洗って!」

「分かったから、前向いてて。」

当たり前だけど、腰にはちゃんとタオル巻いてた。
これですっぽんぽんだったら、殺人事件が起きてかもしれない。



「ふ〜……!!」

少しだけ多めにシャンプ−を手にとって、すでに濡れてたHAYATOの髪をわしゃわしゃする。
HAYATOは気持ち良いのか、息をはいた。


「どうですか?お客様」
「すっっっごい!きもちいいにゃ〜!」



それからしばらくHAYATOの髪を、泡を使って遊んでいると、HAYATOが小さな声で話しかけてきた。


「トキヤが羨ましいな…。」

「ん?」


「いっぱい歌が唄えて…。」
「HAYATO?」

「俺も、もっと歌を唄いたいんだ。」

「そっか……。」

「真琴ちゃんは?」

「私も………、唄いたい。」

少し俯くHAYATOの頭にシャワ−をかける。
いきなりのことでビックリしたのか、HAYATOは大きな声を出して、前のめりになりながら跳び跳ねた。


「でもね、人のことばっか羨ましがってたら、本当に自分のやりたいことがぼやけちゃう。」


「――!!そうだよね!!やっぱり真琴ちゃんはすごいな〜!」
「どこが?」
「内緒〜!」
「意味が分からん。……じゃ、後はしっかり拭いてね。」


「おっけ〜!!」




トキヤが羨ましい、ね……。


意外と私たちは似た者同士なのかもしれない。





★★★


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