トキヤはこれから2週間こっちにいないらしい。
新曲のPV撮影なんだとか。


で、何故かそれを伝えに来た。


「私がいないからといって、羽を伸ばしすぎないようにして下さいね。」
「いや、なんでそ−なんの?アンタ私のオカンやないでしょ!!」
「こうでも言っとかないと、どんな生活を送るか目に見えていますからね。前々から貴女言っていたでしょう、太りやすいと。暴飲暴食、油分のとりすぎには気を付けてください。ああ、あとアルコ−ルの摂取も控えめに、「あ――――もお!!分かったよ!分かったからトキヤも気を付けていってらっしゃい!!」


「………本当に分かっているとは思えませんが。」

「大丈夫だから!お土産は期待しとく。」

「PVのできにも期待していて下さい。」

「そ−だね」


トキヤはデビュ−してから何枚もCDを出してる。
正直羨ましい。私も本音を言えば、歌を歌いたい。
だけど、メディアは私にバラエティ性を求めてくる。


「では、いってきます。」
「いってらっしゃい。」


そう言ってトキヤは扉に手をかけた。


「………そうだ。さっき誰かと話をしていませんでしたか?」





「マネ−ジャ−だよ。電話してたの。電話。」



「そうですか。では、おやすみなさい。」

「おやすみ。」



パタンと扉が閉められた。

なんかちょっと寂しいかも。





「真琴ちゃあああああん!!!」
「どわっ!!?」


「ありがとう真琴ちゃん!!」

「ちょっ……!なにっ!?」


「俺、真琴ちゃんに恩返ししなきゃ!というわけで、かくまってにゃ〜グフッ!!?」

「意味が分からん!さらに意味が分からん!お前もう帰れよ!!」
「酷いよ真琴ちゃんっ!!アイドルは顔が命なんだから、ガチで殴らないでよっ!!」
「知るか馬鹿!!」



私はさっきからまとわりついているHAYATOを引っ剥がしてテレビのスイッチを入れる。
テレビ画面からは深夜のニュ−スが流れ出した。



−私は諦めないからっ!


「………………」


≪速報!! あの人気アイドルが付き合っていた!彼女が涙の会見!?≫


「この人、」

今や超売れっ子のモデルだ。
私も何回か一緒に仕事をしたことがある。

それで、なんでかその子は顔をグシャグシャにして涙を流し、「帰ってきて!」「諦めないから!」などなど、なんか物騒な言葉をはいている。


「わざわざ自分が付き合ってること言う?売れっ子たって、まだこの人も新人なのに、ねぇ、HAYATO」

私が呆れながらHAYATOに話をふるも、HAYATOは曖昧に返事を返してきた。





「…………は?」


テレビ画面越しに泣くモデルの女性が続けた言葉に、私は言葉をなくした。


「帰ってきてよ……、HAYATO!!」




「……………HAYATO…?」

「にゃあっ!!」


持っていたリモコンが滑り落ちる。

と、同時に鳴る携帯。



送り主はトキヤで、まあ、メ−ル内容は想像通り。


「こんのアホッ!!!」
「に゙ゃあ!!」


私は落ちたリモコンをひっつかんで、HAYATOの顔面に投げつけてやった。





★★★


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