HAYATOの会見が始まった。
自分たちに付き合っていたという事実はないこと。
マスコミや視聴者が、自分の意見も平等に聞いてもらえるくらいまで落ち着いてから話そうと思って、今までテレビにでなかったこと。
それでも、自分にも悪い部分があったことを謝罪した。
「……………」
「……………」
HAYATOが記者会見を終えるまで、私もトキヤもなにも話さなかった。
ただ、黙ってHAYATOを見守った。
「これで終わるとは思いませんが…。」
「HAYATOなら大丈夫だよ。きっと。」
「貴女は、随分とHAYATOを買っているんですね。」
「ペットだからね。」
「その飼うではありませんよ。」
「知ってるよ。」
「HAYATOは、自分の良いトコロちゃんと見れる人だと思うから。」
「……敵いませんね。」
「………。」
私の左隣に立つトキヤを見上げる。
あ………、この表情、…知ってる。
トキヤは学生時代、私に好きだと言った。
私は曖昧に返事を返したけど、その後の発展はなかった。
恋愛絶対禁止の校則を破ることは、私にはできなかったし、トキヤをそんな風に見たこともなかったから。
「……一度だけ、抱きしめても?」
「……いいよ。」
返事をすれば、トキヤはふわりと私をつつんだ。
「さようなら、私の恋」
「ありがとう。私を好きだって言ってくれて。」
トキヤを抱き返すことはしない。
これは1つのケジメだ。
これからは、トキヤは今までのように私を気遣うことはなくなるだろう……。
それをちょっと寂しく感じるなんて、自分勝手だね、私……。
それにね、トキヤなら大丈夫だよ。
もうトキヤは私じゃない、
あのピンクの髪の女の子を目で追ってるから。
さようなら。
あの頃、ほんの少し好きだった人。
★★★