朝食を食べきってからテレビをつける。


今日、いつHAYATOが記者会見をするのかは知らない。
とりあえずテレビをつけておけば大丈夫だろう。





私が悪趣味マグカップを片手にソファに座ると、インタ−フォンがタイミングよく鳴った。


「………誰だ?」







「お久しぶりです。」

「トキヤ?久しぶり、」


扉を開けると、外にはトキヤが立っていた。
もう2週間もたってたんだ……。


「どうかした?」

「話は聞きました。」

トキヤの言ってることの意味が分からなくて首をかしげる。


「ハヤトを、泊めていたらしいですね。」

「……え、……まあ…。」

「ハヤト本人から聞きました。」

「そう。」


「それから、あの騒動のことも。私がタイミング悪くPV撮影に出てしまったために、迷惑をかけました。」


そう言って、トキヤは私に頭を下げた。


「迷惑だなんて。……頭上げて、大丈夫だから。」


「大丈夫ではありません。付き合っているわけでもないのに。」
「……そうだね。ごめん。」


言われてみればそうだ。
なんだろう……、なんかそんな風に言われると胸がボコボコと沸騰するみたいになって、後頭部をぶん殴られたみたいになった。
それから、嗚咽みたいな感覚。



「………すみません。そんな顔をさせるつもりでは、」

「…………え?」


自分じゃよく分からなくて、トキヤに聞き返す。



「貴女は昔からそうでしたね。」

悲しい時に、歯を噛み締めて、眉間にシワがよるんです。……泣かないようにですか。


トキヤの言葉を聞いてハッとする。
めちゃくちゃ歯が痛い。……それだけ歯を噛み合わせてたってことか…。



「もしよろしければ、ハヤトの会見を一緒に見てもいいですか?」



「………うん。」


頷けば、トキヤは私の手を引いてリビングへと向かった。
ここ、私の部屋なんだけど……。





★★★


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