「………はい。……はい。分かりました。」
「…………あ、」
「…真琴ちゃん?」
なにか飲んで落ち着こうと思ってリビングに行くと、今一番対面したくない相手とバッチリ目が合ってしまった。
「真琴ちゃん、俺、今日決着つけにいくね。」
「……そう。」
電話の相手はマネ−ジャ−かなんかだったんだろう。
とうとうHAYATOも動き出すのか……。
「ねぇ、真琴ちゃん、」
「うん?」
灯りのついていないリビングで、私とHAYATOは向き合いながら突っ立ってる。
「俺………、」
「……まったく、なんて顔してんの。」
今にも泣きそうな顔をするHAYATOの頭を、苦笑いしながら撫でてやる。
「凄い、………怖い、よ…。」
「……うん。」
これからHAYATOが会見をするとして、HAYATOの無罪が分かっても、すでにHAYATOから離れていったファンは多いだろう。
HAYATOが悪くないことがハッキリしても、今回の件は、HAYATOのこれからの芸能活動に大きな影響を及ぼすことは目に見えている。
私の肩に顔を埋めて力なく抱きついてくるHAYATOを、私はただ抱き返して、少しだけ背中をさすった。
「…………芸能界、引退かにゃ…、」
「なに弱気になってんの!HAYATOは悪くないんでしょ?だったら堂々としなさい!!」
「真琴ちゃん……、」
「またこれから大変だろうけど、まだまだこれから人生長いんだよ?こんなところで弱気にならない!!」
「真琴ちゃん、…うん!そうだよね!」
「HAYATOは明るく前向きでいなきゃ」
「ありがとう、真琴ちゃん。」
「どういたしまして。」
「あ、でも、万が一芸能界引退ってなったら、真琴ちゃんのお婿さんになるのもいいかな」
「バカ、……そんなこと言わないの!!」
コツンとHAYATOの頭を軽く叩くと、「ゔ−ん」とHAYATOは口を尖らせた。
「芸能界、引退なんて許さないからね。」
「うん。ごめん。引退なんてしないよ。」
でも、お婿さんになりたいってのは本当だよ。と、HAYATOは私の耳元で囁いて、そのまま軽く耳元にキスをしてきた。
「アンタね、」
「もう少し驚いてよ−、」
キスされた方の耳をおさえながらHAYATOを軽く睨むと、HAYATOは私の反応に不服だったらしく、頬を膨らませた。
「ねえ、真琴ちゃん」
「なに?」
「今日だけさ、………一緒に寝てもいい?」
月明かりだけが私たちを照らすなか、
私とHAYATOは抱き合いながら眠りについた。
★★★