「ね−、一ノ瀬くん。」
「なんですか?」
「一年生の応募用紙届いたよ」
「もうそんな時期でしたか。」
「だっれがい−かな〜」
つい先日行われた入学式から数日、すでに開始していた生徒会役員書記の応募は、かなり盛況らしい。
名前、性別、簡単な自己PRの書かれた書類に目を通しては一ノ瀬くんにパス。
こうしてみると、人を選ぶってかなり難しい…。
「誰か好い人いる−?」
「そうですね…。」
頭を悩ませる私と一ノ瀬くん。
だいたいみんな自己PRに書かれてることは同じ、かな……。中学の頃に生徒会役員だった。とか、成績のこととか、学校に対する思い入れとか…。受験の面接じゃないっつの。
「もっとこ―――…、学校のこととか関係なく自分を表せることとか書いてほしいな−…。」
ポロっと漏れた言葉に、一ノ瀬くんも「奇遇ですね。私も同じことを思ってました。」って言ってきた。
そんなこんなでお互いう−う−唸りながら書類とにらめっこしていると、2人してとある1枚の紙を見て動きを止めた。
「この子なんてどう?」
「とても良いと思います。」
「じゃあ!この子採用!!」
▼4月初め
( その名も一十木音也くん、15才 )
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