「一ノ瀬くん。一ノ瀬くん。一ノ瀬くん。一ノ瀬くん……。


 一ノ瀬トキヤくん。」


呪文のように繰り返す名前。
もちろん私のじゃない。来年の生徒会長の名前をぶつぶつと呟く。特に意味もない!!


どんな子なんだろうな……。


自慢じゃないけど、先生とは関わりが結構ある私でも、後輩とは全く関わったことがない私は、後輩の顔なんてこれっぽっちも覚えてない。
覚える気もさらさらないんだけど。
とにかく名前だけでもサラッと言えるように呟いておく。


今日は卒業式の予行練習初日で、来年度生徒会役員の私と一ノ瀬くんも在校生代表の挨拶の練習に参加をする。で、しかも一ノ瀬くんとは今回が初対面になる。


イケメンくんならやる気でるのにな〜。なんてアホなことを考えていたら、ぽんぽんっと右肩を軽く叩かれた。


「……ん?……ああ!林檎ちゃん!」

「久しぶりねぇ、真琴ちゃんっ」


林檎ちゃんはりゅ−やさんと仲良しの先生で、ちょ―――――っ美人!!!その美貌を分けてほしい!!


「林檎ちゃんも練習付き合う係りなの?」

「まあね。ほら、私この子の担任だし!」

「………この子?」



「この子」と言った林檎ちゃんに少し遅れてスッと私の前に来て頭を下げた男の子……。

あれ………?


この子って、もしや……………?



「一ノ瀬トキヤです。一年、宜しくお願いします。」



厘とした立ち姿、申し分のない筋肉のついた体。なのに、制服はキチッと着こなす爽やかさ。これはかなりレベルの高いイケメンッ!!!









…………なのに……………っ……、




なんだその瓶底眼鏡はああああああああ!!!!!!!!!!!!



▼相変わらず3月の終わり


( 素顔を隠す16才 )


mae | tugi



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