「ただいま−」
私が自宅について帰宅を伝えると、奥の方からパタパタという軽い音がこっちに迫ってきた。
「真琴、おっかっえり〜!」
「……ただいま。」
嫌ってくらい満開の笑顔。
何故かピンクのエプロンが似合うこの男は私の実兄である廿六木嶺二。
やたらとスキンシップが激しくて、心配性……かな?
今も私をホ−ルディングして離さない……。
「も〜!お兄ちゃん心配しちゃっよ!?こんなに帰りが遅いんだもん!!」
「遅くないし、7時前だから。」
「遅いよん!も〜真琴は女の子なんだから、気を付けないと!!それに、一言連絡してよ−!!」
「連絡したよ」
「………へ?で、でも…届いてなかったよん?」
「だって、セシルに送ったんだもん。」
「……え?セシルに?でもセシルなにも言ってなかったよ…?」
「お兄ちゃん、なにも知らないでお夕飯用意する。見てるのすごく面白かった。」
「なぬっ?!」
「あ!セシルただいま〜!!」
「お帰りなさい。真琴、」
リビングから現れたのは廿六木セシル。
セシルとは私も嶺二も血が繋がっていない。
セシルは元々孤児院にいた子で、たまたま私と嶺二がまだ子供だった頃、父親に連れられて孤児院にいった時に仲良くなったんだとか。
その頃セシルは、肌の色とか、目の色が違うからって友達がまったくいなかったらしい。私と嶺二はそんなの全く気にせずセシルと遊んでた。そうした理由もあって、私たちの両親はセシルを家族に迎えることにしたらしい。
正直、その時のことは昔すぎてよく覚えてないんだけど……。
でも、あの時にセシルと仲良くなれて本当によかったと今でも思ってる!だって、じゃなきゃこんな素敵な弟ができなかったわけだし!!
私たちの両親は、いわゆるボランティア団体のリ−ダ−みたいなことをやっていて、世界中を駆け巡ってる。
正直大変なことばかりらしいけど、人生やりがいのある仕事をしたい!って言って行動してる2人は輝いてるし、尊敬してる。
「まったく、セシルちゃん!!そ−ゆ−ことは言ってくんなきゃ困るよ!?」
「今困ってるの真琴」
「むむっ…!!」
「セシルはやっぱいい子だよ〜!!と、いうわけで嶺二どいて。」
「ダメダメ!!俺のことはお兄ちゃんって呼ばなきゃ!!」
「キモ」
キモイの一言がよほどきいたのか、嶺二はしばらく廊下でうずくまってた。
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