俺は「うさぎ」を見た。
本物ではなくて、着ぐるみの「うさぎ」。
目に覇気がなくて、顔は色こそピンクで統一されているのに、布は無地、ボ−ダ−、花柄とまるで統一感がない。
しかも、着ぐるみなのは顔の部分だけで、下は黄緑色の派手な繋ぎの服。
そのアンバランス感が「うさぎ」の不安定さ、ちぐはぐさを膨らませた。
一言に言って「不気味」だった。
それだけじゃない。
「うさぎ」は、使いふるされたモップを右肩にかけて、左手にはガシャガシャ、ぐちゃぐちゃと音のするごみ袋らしきものを持っていた。
そして、周りには目もくれずに裏原宿へ続く通りへと消えていった。
なにかのイベントだろう。とも考えた。
いや、なにかがおかしい。
ハッキリとなにかは分からないけど、なにかがおかしいと確信していた。
サッと風を感じて目線を動かすと、青い目元だけを覆う仮面をつけた男が俺の横を通りすぎた。
俺は今、
何処にいるのだろう…………………。
Boy meets a "rabbit".
‰ at URAHARAJYUKU .
mae | tugi