室町/卒業後/悲恋










たまたま炭を買い付けにきた村で偶然に旧友と出会った。卒業してから一度も顔を会わすことなく数年が過ぎ、久々に見る顔は大人びてはいるものの面影はしっかりと残っている。

「奇遇だね、彦四郎」

「……庄左ヱ門」


声が以前より低くなっていて背も少し伸びたように感じた。


「じゃあ、」

「……」

「また」

「…待て」

呼びとめた彦四郎の声がかすかに震えていた。

久しぶりの再会なのだからゆっくり茶でも飲みながら昔話をしてもいいかもしれない。6年間同じ委員会でお互いに学級委員長として務めた。学園長の突然の思いつきにつきあわされたり、事件に巻き込まれたりと学園生活はある意味とても充実していた。


充実していたんだ。
同じ委員会で、
わずかな時間を共に過ごしただけで。
それだけで満足だった。


振り返ると彦四郎は俯いていた。
お互いの気持ちはとっくに気付いていた。




ゆっくりと距離を縮め久しぶりに彦四郎を抱きしめる。

あぁ、懐かしいな、この感覚。

きっとこれでもう会うことはない
そっと彦四郎の前髪に唇を落とし強く抱きしめた。



 
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