「兵助の髪って良い匂いすんな」

「風呂上がりだからな」


大体夜は一人部屋であるはっちゃんの部屋で過ごしている。俺たちが恋仲だということは周りにも公開してあるし、自室を出る時も同室である勘ちゃんから明日はサバイバル演習があるから頑張りすぎないようにね、と笑いながらに忠告された。

心配してしてくれているのだろうけど、大体杞憂に終わる。


はっちゃんと付き合い始めてからけっこうたつがそういった“行為”はまだだったりする。

接吻はした。


が、その先に進む様子は一向に見られない。何度もそんな雰囲気にはなったりするけれど(というか二人きりで会うのは基本夜だから自然とそうなる)はぐらかされる。
触れたい、と思っているのは俺だけなのかと思うと虚しい。


もっと、もっと…俺は知りたい。


そんな俺の思いも知らずはっちゃんは俺の髪をいじっている。毛先を指先にくるくると巻いて呑気に鼻歌を歌っている。

この距離がもどかしくて抱き寄せると体勢を崩してふとんに倒れこんだ。はっちゃんが俺に馬乗りになっている体勢に慌てて退こうとするが、そうはさせない。

はっちゃんの首に腕を回し、勢いに任せそのまま接吻をしてやった。

「んっ…、へいす、け」
「はっちゃん可愛い」
「ばっ、か、可愛いくねーよ!」


耳まで真っ赤に染まり息が切れている姿に欲情するなという方が無理だ。

「はっちゃん、ごめん。もう限界だ、我慢出来ない」

「え…?ちょ、待って」
「待てない」

はっちゃんを下に組み敷き露出した肌に唇をそわせるとビクッと体が震えた。あぁ、可愛いよ。本当に。
腰紐に手をかけると弱々しく腕を掴まれた。


「ほんと、待ってくれ…っ」
「……嫌か?」
「ち、違う…」
「?…じゃあどうしたんだ?」
「…あのさ、これって…俺が下なのか?」

予想すらしていなかったはっちゃんの発言に力が抜けた。てっきり今から行おうとしている行為に対して拒否をされると思っていたが逆だった。


「…俺ははっちゃんを抱きたい」

「兵助は可愛いし。俺が抱く方だと思ってたんだけど…」

「いや、可愛いのははっちゃんでしょ」

「兵助だって!」

「「……」」


プッとどちらからともなく吹き出す。なんだ、そんなことではっちゃんは悩んでいたのか。

「はっちゃんは俺のこと好き?」

「当たり前だろ!」

「じゃあ俺のお願い聞いてくれるよな?」
「おう、なんだ?」

「黙って俺に抱かれて」




異論は認めない



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