現代パラレル/高校生/年齢操作有り
エレ→アニ
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天気予報では1日晴れるといっていたのに窓の外はどんよりと淀んだ雲が広がっている。確実に帰る頃には傘が必要になっているだろう。

日直の仕事を終え、担任の所へ日誌を届けるとついでにと雑用を言い渡され明日の授業で使うプリントを全クラス分コピーするハメになってしまったのがそもそもの原因だ。ついてないな、と内心でため息をつきながらコピー機が置いてある部屋に向かうと先客に見慣れた人物がいた。


「ん?アニか」
「…どうも」

コピー機の横にあるパイプ椅子に座りながらこちらをじっと見つめてくるエレンから顔を反らした。この目がなんとなく、苦手だから。

「お前も雑用押し付けられたのか?」
「まあ…そんなとこだね」
「悪いな、俺が頼まれたの、量がけっこうあるから時間かかっちまうかも」
「そう…じゃあ別のコピー機あるとこにいくよ」
「残念、他のとこはもう施錠されてるから俺らが使えるのはココだけ」
「…ついてないね」
「本当だよなー、あ、椅子もう一個出してやるよ」

この部屋は物置のようになっていて紙類や古い資料等が棚に保管されている。掃除が行き届いていないのか若干埃臭い。部屋の奥に消えていったエレンがしばらくすると片手にパイプ椅子を抱え隣りに組み立てて置くとちょんちょんっと指をさされ座るように促される。


「ありがと」
「どういたしまして」

エレンは変わったと思う。
昔はこんなこと自然と出来るようなやつじゃなかった。

「アンタ一人なの?」
「…は?どうみても俺しかいなかっただろ?」
「そうじゃなくて。ミカサとアルミンは?」
「あー。帰らせた。用事あるっていってたし」
「アルミンはともかくミカサがアンタを置いて帰るなんて出来ないんじゃないの?」
「ミカサは俺の保護者じゃねーんだよ、もう高校生だぞ」
「そうだね、でもアンタは危なっかしいから」
「そうか?別に普通だろ」
「本人に自覚が無いからアルミン達は大変だね」



私は三年前のアンタしか知らないけどアルミンがよく話してくれた。自分よりも体が大きいやつにでも勝てる訳が無いのに挑んでそのたびにボコボコにされて…。ミカサや大人達が止めに入らない限りどんな相手にでも立ち向かう姿はとても勇ましかったと。

そう言っていた。

「なぁ、アニ」
「なに」
「お前ってさ、いつもアルミンアルミンって………気でもあるのか?」
「……は?」


今なんて言った?
私がアルミンに気があるって?


「意味がわからないね、なんでそう思うの?」
「だって中学からたまーに一緒に居たじゃねぇか」
「アルミンとは選択した教科が一緒だっただけ」
「じゃあ好きじゃないってことか?」
「さっきからなんなの?別にアンタには関係ない」



私が誰を好きになろうなんてアンタには関係ない。そうだろ?エレン。




「…あぁ、そうかもな。関係無いかもしれない。でも、気になるんだよ」
「アンタ自分が何言ってるか分かってるの?」
「分かってないかもな。わりぃ、おかしなこといっちまって」
「別に…かまわない。」
「アニ」
「…今度はなに」
「俺、…さ…なんとなく…なんだけど」
「焦らさないでいいなよ」
「…好きみたいだ」
「…は?」
「アニのことが、…好きだ」





窓に雨粒が当たる音がする。
あぁ、ついてない。
今日は濡れて帰ろう。
そして整理しよう、自分の気持ちを。








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続きます

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