巨人に喰われかける夢を見た。
目の前に広がる光景、それは大きな口を開けて俺を飲み込もうとしやがる気味の悪い巨人。

悪夢だった。
夢から覚めたい一心で幸いなことに片手だけ腕が自由に動かせる状態だったので頬を渾身の力で殴った。が、当たり前に痛みはこないし目も覚めない。
嫌だ…!たとえ夢だと分かっていてもあんな奴らに食われてたまるか…!クソッ、覚めろよ!今すぐ!!!

そう思った瞬間ヌルッと首もとで生温い感触がした。



「………何してんだ、エレン」
「ん?あぁ、起きたのか」
「……説明しろ、この状態を」
「うなされてたから起こしてやろうと思って!」

ニッと満足げに笑うエレンに正直助かったという感謝の思いもあるがお越し方に問題がある。

「確かに俺は悪夢を見ていた、一刻も早く夢から覚めたいと思った。だがな…って聞けよ!」
「俺のことは気にするな、続けてくれ」

「気にするわ!とりあえず降りろ!」
「…っなぜだ?なぜ俺はこのマウンドポジションから降りなければならない!?」
「うるせぇ!静かにしろ!」


簡単に今のこの状況を説明すると、俺の上にエレンが馬乗りになっているということだ。生温い感触というのはエレンが俺の首もとに舌を這わせていた。

「頼むから1から説明してくれ」
「夜這いにきた」
「1から説明しろって今俺言ったよな?」
「なんだよ、ジャンは頭いいクセに夜這いも知らないのか?」
「ソコじゃねぇ!!」


思わず大きな声が出そうになり手で口を覆った。やべぇ、今この姿を見られたら間違いなく誤解される!ていうかマルコはどうした!?なんでいねぇんだ!?

「説明しよう!」
「小声で頼む」
「マルコとは夕食時に交渉済みだ!」
「…は?交渉ってなんだよ」
「ジャンとセックスしたいから場所変わってくれ!って頼んだ」
「ぶっ!!!!」
「という訳だ!セッ」
「断る!!!」「なんでだよ!?」
「お前はバカか!?バカなのか!?」



そんなの公開セックス宣言じゃねぇか!恥ずかしさと怒りで頭がパニックを起こしているさなかエレンは上機嫌で俺の寝巻きに手をかけた。

「………っ」
「唾飲み込んでんじゃねーよバカ!」
「いやだって、…なあ?」
「退け、今すぐに俺の上から降りろ!」
「断る」


コイツはヤることしか頭にねぇのか!?言い聞かすことが出来ないのならば無理やりエレンの身体を退かそうとした瞬間手首を掴まれた。瞬きをする暇を無く唇を塞がれ当たり前のように口内に舌が入ってくる。
力では大きな差はないはずなのに体が言うことを聞かない。

息継ぎをする暇も与えられず歯列をなぞられ散々好き放題舌で弄ばれてようやく唇が離れる。ツーっとお互いの唾液が溢れ首もとを伝った。

「えっろ…」
「ハァっ、…おま、えっしね!」
「顔真っ赤だぞー」
「うるさい黙れ」

くそ、なんでコイツこんなに上手いんだよ!涙目になりながら袖で唇を拭いていると腹部に硬いものが押しあてられた。察するまでもない。キッとエレンを睨み付けると高揚とした顔で真っ直ぐに見つめてくる。

「分かるだろ?限界なんだよ」
「…っ」






「んんっ……はっ、」
「いいよ、その顔。最高にそそる」

服を脱がされエレンに身体中にキスをされた。首もとや鎖骨あたりに散られた鬱血痕は赤々しく存在を際立たせる。

エレンの手によって散々に刺激された乳首は最初は痛いとしか感じなかったものの指で弾かれちろちろと舐められているうちに痛みとは違う何かを感じるようになった。腹の下あたりがじんじんと熱くなる。

「く、そ……っ…はぁ、んっ…」
「乳首コリコリするとこっちも硬くなるんだな」
「やぁっ…だ、…さわ、っんな…はぁっ」
片手で乳首を弄られもうひとつの手ではゆるゆると下を扱かれる。滲み出る汁でぐちゃぐちゃと先端を刺激され生理的な涙が頬を伝う。

「可愛いよ、ジャン」
「うっ…さい…はぁっ、んっ…」

改めて自分の手と他人の手での快感度の違いに気づく。体に力が入らないどころかすっかりエレンに身を任せて自分は喘ぐことしか出来ない。だが俺にはひとつ疑問がある。


「エレっ…ン、」
「ん?どーした?」

歯を食いしばりエレンの手を掴む。が、静止させようにも手の動きは止まらない。

「離、せ…よっ…んんっ」
「なんで?気持ちーんだろ?」
「はぁっ…聞きてぇ…ことがっ…あん、だよ…!」
「ふーん、いいよ。話せよ」
「んっ…ぅ、…だっ、から!…手!」
「だーかーらー、そのまま話せって!」


にやにやと笑うエレンを睨み付け力の入らない手を掴みながら震える声で呟いた。ピタッと手の動きが止まった。解放された快感に少し残念に感じる自分が腹正しい。

「今なんつった?」
「……だ…から、…するん…だろ…その、どっちが入れ」
「俺に決まってんだろ?」
「は…?いや違うだろ…俺よりエレンの方が…ひぁっ」

ぐっと指先で先端を刺激され情けない声が洩れる。

「へぇ、こんなに俺に喘がされといて入れたいと思うんだ?」
「クソッ、…やめっ…あっ…」

「なあーいっぱい汁垂れてるぜ?」「ここキモチイイのか?」「すげぇな」「見ろよ、手離すとピクピク動いてる」

わざわざ実況つきで恥ずかしいセリフを耳元で囁くエレンの声に興奮している自分がいるのは認める。でもまさか俺が受け入れる側というのは納得いかない。

このままエレンに流されたままでいいのか…?いや、よくない!隙を見てエレンと立場チェンジしようと体勢をとろうとした瞬間先ほどまでゆるゆると上下に動かしていた手が早くなった。

「ひっぁ…、んっ!!」
「そろそろイキたいだろ?」
「エレっ、…ン!や、ぁっ…あっ」
「声可愛いよ、ジャン」
「んぅっ…言う、なっ……あぁっ」
ビクビクと身体が震え勢いよく白濁した液体が吐き出された。自慰とは比べ物にならない快感の余韻に浸る間も無く四つん這いされ尻をつきだすような体勢にされカァアッと顔が熱くなる。

「エレンっ…何しやっ…つめたっ!なんだよソレ!!」
「ん?マルコがくれたんだ。ジャンが苦しくないようにって!」
「…は?はぁぁあああ!?ちょ、ま、待て…ひっ…!?…っだ、」
「慣らすから、まあ痛いだろうけど」
「ま、て…!やめっ……い゙ぃっ、…」


とろりとした液体を塗られグチグチと浅いところを弄られ猛烈な違和感に体が強張る。一ミリの気持ちよさも感じず冷え汗が額に浮かぶ。

なんだよ、指だけでこんなに辛いとか!チラッとエレンのモノを見ると言葉を失った。

無理!絶対無理…!!てかなんで無駄にデケェんだよ死ねよ!

「ジャン、」
「っんだよ…っ!」
「苦しいか?」

当たり前だろ!!そう言い返したくて振り向くと先ほどとは打って変わって心配そうにこちらを見つめるエレンと目が合った。

「……っ」
「変わる。ジャン、お前が俺に入れろ」
「…は?」
「そんなつらそうなのに見てられねーよ…いいぜ。俺が受けるから」

あれだけ好き放題弄ってきたクセに。急に気つかってんじゃねぇよ。なんでお前は強引だったり急に優しくなったり、意味わかんねぇ、けど。


俺だってお前にこんな思いさせたくねーよ。



「っはぁ?別につらくねーし」
「え?おい、ジャン無理すんなって」
「こんなの余裕だっての、いいから続けろよ」
「……本気で無理だと思ったら言えよ?」






それから下半身の違和感に耐えているといつの間にか痛みが消え腹の底からじわじわと何かが込み上げてくるような感覚に体が震える。マルコからもらったという液体のおかげで滑りがよくなり人差し指がすっぽりと入るようになった。

「んっ……はぁ、」
「けっこう慣れた、か」
「…はぁっ…エレン、」
「どうした?」
「…ス…てく…れ」
「ん?悪い、聞こえなかった」
「だっ…から!その、…キス…してくれ…」
「!」

なんだこの可愛い生き物は…。顔は見えないものの耳が真っ赤に染まっている。胸に込み上げてくる愛しさに頬が緩んだ。


「ジャン」


日々の訓練によって鍛えられたジャンの引き締まったに身体を見下ろし腰を掴む。

もう限界だ。

「エレ、ン…?……!!ひぃっ…ん゙んっ!」

ズンッと自身のモノを慣らした穴へと押し込んだ。液をたっぷりと使ったおかげでなんとか先端部分は入ったが予想以上のきつい締め付けに体が震えた。

「ば、…ジャンっ力抜け…っ」
「い゙ぃっ…ふ…っ…はぁ、っ…む、りぃっ、…」
「入んねぇ…っつの…はぁっ」
「んっ…ぅ、…っ」

少しずつ動かしながら奥へと身を沈めたびにジャンの口から苦しげな声が漏れる。

「ジャン、」
「んっ…はぁっ、…ぅ」
「ちょっと体位変えるな?」
「…え?……うっ、わ…エレっン…!」

一旦、モノを引き抜きバックから正常位に体勢を変える。ジャンの乱れる息と真っ赤に染まる顔に下半身が熱くなるのを感じた。息を整える間もなくジャンの唇にむしゃぶりつき口内を犯す。舌を絡ませ角度を変え深い口付けを交わした。

夢中になっているジャンを横目で見ながら脚を開かせる。意図を理解したのかエレンの首筋に腕をまわしぎゅっと目を瞑った。
ズズッと先ほどとは違いスムーズに中程までモノが入り歯を食いしばる。相変わらずの強い締め付けにちぎれるのではないかと錯覚するほどだった。

「はぁっ、…はぁ、」
「ん゙んっ……は、ぁっ…ん」
「ジャン、動くからなっ」
「ぁっ…んっ……はぁっ」



卑猥な水音と肌がぶつかる音が辺りに響く。いつの間に甘い喘ぎに変わっているジャンに安心したのと同時に腰を動かすスピードを上げる。

「んぅっ!?…エレ、っン、ぁっ、はぁ、…ぁっ、んんっ」
「ジャ、ンっ…はぁっ、」
「はぁ、…んっ…あっ、」
「………はっ、」
「や、…んっ…ぁあっ」
「や、ば、…ジャン、出そ、」
「んっ……ぁっ、」
「はぁっ、……くっ、…」
「んんっ…ぁっ」



あっと思った瞬間には既に遅く自身を引き抜くとボタボタと白濁液が溢れていた。

「…はぁっ、エレっ…ン、テメェ」
「ハハッ、悪ィ!」
「っ…おま、…ふざけん、…あぁっ」
「もっかいシよ?」
「んっ…ぁ、っ」








朝目を覚ますときちんと服も着ていて夢だったのかと起き上がるとズキッと腰が痛む。

「い゙っ、…クソ、あの野郎…」


手加減つーもんを知らねぇのか!
痛む腰を押さえながら布団をどかすと視線を感じ、振り向くと昨晩エレンの交渉(?)により空気を読んだマルコが布団をかぶりながらニコニコとこちらを見ていた。


「おはよう、ジャン」
「あ、あぁ…おはよう」
「昨日は熱い夜だったみたいだね」
「い…や、…ってか!エレンの言うことなんか聞くなよ!えらい目にあったぞ!!」
「そう?すごく良い声出してたけど」
「………へ?」
「今夜は僕の相手をお願い出来るかな?」
「な、何言ってんだよ!?…てか、え…は…?待て……声って」
「え?丸聞こえだったよ?」
「…マジで」
「マジだよ」



それからエレンを一週間ほど無視したのは言うまでも無い。



「な〜、ジャン〜!ごめんって!」
「しね俺に近寄るな変態が!!!」
「……ジャン」
「なんだよ」
「もっかい変態って言って?」
「しねッ!!!!」


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