なんでこうなった。
誰か今すぐこの状況を説明して欲しい



今日の実技の授業でひどく疲れていた僕は夕食を軽くとったあと湯浴みを済ませすぐに床に入った。翌日が休みということもあって復習と予習は起きてからゆっくりやればいいやと思い早々と眠ってしまい変な時間帯に目が覚めてしまった。ボーッと天井を見ながら明日の予定をぼんやりと考えているとうとうとと眠気が襲ってきたので目を閉じようとするとゴソッと何かが動いたような音と気配がして一瞬で目が覚めた。

しかしよくよく考えてみれば同室である一平が隣りで寝ているので寝返りでもうったのかと思い少し冷静になる。

横目でチラッと隣りを見てみると今度こそ本当に目が覚めた。なんで一平のふとんに会計委員の加藤団蔵がいるんだ。しかも近い、ふとんがくっついているではないか。

「おはよー彦ちゃん」
「“おはよー”じゃない!!」
「え?あぁ、確かにまだ朝じゃないもんね。」
「そうじゃない!なんでお前がここにいるんだ!」
「まぁまぁ、落ち着いて」
「落ち着いていられるか!一平はどうした!?」
「一平なら俺の部屋で虎若と逢い引き中」
「は!?」
「だから追い出されたんだ!俺!」「はぁあああ!?!?」
「今頃ふたりは…キャッ、彦ちゃんったらこれ以上俺に言わせる気?」
「うるさい!」



そういえば僕が床に入る直前に一平が何か言っていたような気がする。ていうか一平のやついつの間に虎若と…。まあ、同じ生物委員会だし、仲が良いなとは思っていたけれどそういう関係だったなんて知らなかった。


「ねえー彦ちゃん」
「なに…」
「そっち、いっていい?」
「…は?」
「一緒に寝よ?」
「断る!!」
「即答!?」
「それよりふとん離せ!!近い!」
「いいじゃん!なんもしないから!」
「当たり前だ!ていうか何をする気だ何を!」
「えっ」


やめてくれやめてくれやめてくれ…!!なんで顔を赤らめるんだ意味がわからない。
付き合ってられるか!


団蔵とは反対方向に寝返った瞬間ギュッと後ろから抱きつかれた。

「ちょ、と!離せっ」
「彦ちゃん、」
「団蔵っ、てか苦しい!」
「あ、ご、ごめん。」


腕の力が緩まり団蔵の腕から抜け出そうとするがそのたびにくすぐられたりするため諦めておとなしく抱きしめられてやることにした。体力の無駄だし別に深い意味は全く無い。しかたなく、だ。


「彦ちゃんこっち向いてー」
「い・や・だ!」
「顔見たい」
「僕は見たくない」


団蔵の顔なんか、
見たくない



「彦ちゃん」
「……」



「好きだよ」
「……あっそ…」



「…大好き」
「………」



「…ずっとこのままでいたいなあ」
「…僕はそんなの御免だ」



「ははっ、彦ちゃんてさ、わかりやすいよね!」
「…?なにが?」
「耳真っ赤だよ?」
「〜っ!!?」



もういやだ!
こうやって突然やってきては好きだのなんだのって!僕にどうしろって言うんだ!!団蔵のことなんかこれっぽちも好きじゃない。第一、こんなサラッと言えることじゃないだろ!からかわれてるに決まってる!


「あのさ、彦ちゃん」
「うるさい話しかけるな!」
「俺のこと嫌い?」
「そんなのっ、…決まってるだろ…っ」
「嫌いだったらさ、こんなドキドキしないよね?」
「…!」
「彦ちゃんの心臓もうるさいけど、俺もかなり緊張してる」
「………」




「俺は、本気で彦四郎が好きだ」

「…ふん」

「え、何それ!返事は?」

「……………」

「彦ちゃーん…」

「…嫌い、じゃない」

「ってことは好きってこと!?」

「調子に乗るなっ!」



油断して緩んだ団蔵の腕からくるっと振り向きみぞおちを一発殴ってやるとゴフッと苦しそうに咳をしている。ふん!お前なんかに顔を見せてやるか!


涙声で僕の名前を呼ぶもんだから聞こえないふりをして団蔵の胸に顔を押しあてた。







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