現代パロ/大学生
彦四郎がちょっとノンケっぽい









カチ、カチ、と規則正しい時計の音に目を覚ました。時刻は丑三つ時と呼ばれている時間で嫌なタイミングだと思う。

なにかの本で読んだことがあるが午前2時から3時までの間は最も霊が見えやすくなる時間らしい。霊媒体質というわけではないけれどそういうこの世のものではない、科学で説明の出来ない事や存在は好きではない。

まだ世界には僕の知らない…いや、人間が知らないことはたくさんあると思う。僕たちの知らない世界がどこかにあるかもしれない。でもきっと僕が生きている間で新たな発見ということに出くわすのは皆無等しい。


なぜならば僕は某大学に通う一般人だから。一応、一般に名が知られている大学だが僕の人生計画は至って平凡である。大学を卒業して大企業とまではいかないけれどそこそこな会社に就職して行く行くは結婚して家庭をもって老後は静かに暮らす。

ごく普通な人生計画だけれど上手くいくなんて限らない。例えば明日僕は不運な事故に巻き込まれて死ぬかもしれない。それは誰もが予想出来ないものであって神のみぞ知る世界、というが神様というものは本当に存在するものだろうか。人間がでっちあげた架空の存在を崇拝して何か報われるのだろうか。


考え出すとキリが無くなってしまうので僕は疑問を放棄した。考えたって仕方がない。

少しだけ話を戻すと僕の人生計画の中で早くも予定外なことがある。

それは今僕の隣りで眠っている人物のことだ。行為のあと服を着るのすら面倒でふたりとも裸で眠ってしまっていたので床に脱ぎ捨てられた下着とTシャツを拾った。


女の子とのセックスは好きだ。
甘い匂いとかやわらかい体とか、声を出さないように必死で我慢している顔は最高に興奮する。女の子を抱きたい、と思っていたはずなのに数時間前の僕は抱かれていた。まさか自分が男同士でセックスをする日が来るなんて思いもしなかった。最初は冗談だと思った。 “好きだ”と告白されて押し倒されてとても焦った。

入学式で初めて見た時からこいつモテるんだろうな、と感じていた。同じ学部で話す機会も頻繁にあるし僕の中でいいやつというイメージがあった。

そんなやつにベッドに押し倒されて好きだと告白されれば誰だって慌てると思うが僕は“男”である黒木庄左ヱ門にそんなことを言われてドキッとしてしまい自分自身に焦りを感じた。相手は男だぞ!?と何回も言い聞かせたがその間に庄左からキスをされて舌で弄ばれた。

はっきりいって最初は気持ちよくなんかない。尻の穴に指を入れられた時は涙が出た。痛い、死ぬ!と叫んだような記憶がうっすらある。

今でも痛いけれど気持ち良いと思えるようにもなってしまって慣れは怖いなとつくづく思う。せめて庄左のナニがもう少し小さければ痛みは半減するかもしれないと思うけれどどうにか出来ることではない。


これが僕の人生計画にはなかった同性とのセックス。


でもそれよりも一番に困ったのが…、




「ひこしろ、」
「庄左起きてたの?」
「ん。…寝る」
「うん、おやすみ」
「…なんで服着てるの」
「え?あぁ、ちょっと肌寒くて」
「……おいで、」
「っ!ちょっ…庄左!」
「こうすればあったかい」



数分前に着たTシャツとパンツまで脱がされぴったりとくっつく肌は確かに暖かくて気持ち良いけれど僕の尻に当たってる元気なナニはどうするつもりだ。




「好きだ、彦四郎」


耳元でその声は辞めてくれ。



もしかしたら僕は初めて見た時からコイツに惚れていたのかもしれない。



人生計画
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