僕とプニロウさん


ぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷに…。



「…皆さん、聞いてますか?」



痺れを切らした僕は小さく息を吐くと言葉を紡いだ。
目の前にはショウゴさんにチサトさんにケイタさんといういつもの三人組。(後輩トリオ、とでも呼ぼうか…)
タケさんのダイエットに協力してもらおうと呼んだのだけれど、彼らはタケさんを見た途端、一様にあの人の頬を突きはじめたのである。
同じ行動をだけれどタケさんの頬を突いている時の表情は異なっていて、ああ個性が出るなあと静かに思った。



「ヒナ君ごめんなさい、あまりにも馬鹿アロ…いえ、プニアロハが新感触だったから…。」

「でもオレはお嬢のスベスベ肌の方が好きッス!」

「そんな返答求めてないのよこの駄目犬。」

「…!!」

「チサトさん、ケイタ君で遊ぶのは後でにしましょう。…ヒナ君、ボク達を呼んだのは先輩のダイエットについてでですよね?」

「あ、はいそうです。」



そう、僕はタケさんのダイエットの為に彼らを呼んだのだ。
食事から見直そうとも思ったのだが僕は日中仕事でいないし、いくら食事をヘルシーに変えたところで別のものも追加で食べられていたとしたら意味はない。



「まあ確かにボク達は決まった時間に仕事がある訳じゃないですしね。」

「ショウゴ先輩、その発言はちょっぴり寂しいッス。」

「でも事実でしょ?…プニアロハから頼まれても協力してなんかやらないけどヒナ君の頼みだしね…協力してあげるわ。」



相変わらずの無表情だったもののチサトさんは少し柔らかな口調でそう言ってくれた。
…正直に言うと駄目元で頼んだ感じだったから協力してくれるのは有り難い。
チサトさんの言葉を聞いてかショウゴさんとケイタも協力してくれることになった。(ショウゴさんの協力は何か裏がありそうだけれど…)



「ショウゴ先輩、前に新薬を開発したっておっしゃってましたよね。この際プニアロハに使ってみたらどうですか?」

「嗚呼良い考えですね。…ケイタ君、貴方は先輩と鬼ごっこをしてあげてください。走るのは得意でしょう?」

「了解ッス!じゃあ一定時間先輩が逃げ切れなかったらメシ抜きとかで良いッスよね!」



……タケさん、ごめん。
三人の協力は僕としては幸いなことだったけれど、当の本人であるタケさんからするとそうではなさそうだ。
楽しそうに計画を立てるトリオとガタガタと震えるタケさんを見て罪悪感にかられたが、これも脱プニロウさんの為と救いを求める目を見なかったことにした。


後日、トリオの協力のお陰かタケさんは元の体型に戻ったけどしばらく後輩三人に怯えていた。
何があったのかは口を閉ざしたままだったけど大体の予想はついた。(ショウゴさんからは実際に体験してみますか?とも言われたけど丁寧にお断りしておいた)
…ごめん、タケさん。
謝罪の意味も込めて僕はデザート片手に、リビングにいるタケさんへ声をかけた。



「タケさん、デザート食べませんか?」

「ヒッ…!すみません土下座させてください!」

「え。」



END.

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