もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ









怜奈ちゃんに好きなの?と聞かれてから、私は文次郎を見かけると目で追うようになった
留三郎と喧嘩してるのをみたり、はたまた、仙蔵にやられてるのを見たり
いろんな文次郎がいた
・・・私の知らない文次郎が、そこにいた


ズキリ


ズキリ?なんで・・・?
・・・良くして貰ってたから、寂しいのかな、私
うーん?と考え込む

好き・・・は、よくわからない
私は年齢が彼氏いない歴だったし
何でか知らないけど、男の子の友達もほとんど居なかった
そうしてみると、私って運ないなぁと思う
怜奈ちゃんはもててたみたいだけど、何でか全く彼氏作らなかったし
勿体ないよね・・・

ほうきを動かしながら、私はそう考え事をしていたのだった



―――――
side:仙蔵



「発破をかけたのか?」
「うん、率直に、文次郎好きなの?って聞いてみたの」
「それでか」


なるほど、と私は頷いた
最近やけに壬琴からの視線が多いと思えば・・・
しかし、怜奈さんが発破をかけたなら、壬琴も気がつくか?
そんなことを思っていると、怜奈さんはため息をついた


「でもねー・・・」
「何かあるのか?」
「あの子が鈍いの、私のせいなのよ」


私はなにも言えなくなった
壬琴はやけに恋愛に対して無関心だと思っていたら・・・
・・・原因とは近くにあるものだな


「壬琴ってば可愛くて・・・!だから向こうにいるときに、壬琴に告白しようとする男、全部はり倒してきたの」


だから、生まれてこの方壬琴は男の子と付き合うなんてしたことない純情っ子なんだから!となぜか誇らしげに怜奈さんは言った

・・・だからこそ今苦戦しているのにな・・・

私はそう思って小さくため息をついた



純情狼









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