もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ









「ね、壬琴」
「ん・・・どうしたの?怜奈ちゃん」


お風呂にも入り、もう寝るだけという状態で、怜奈ちゃんは私に声をかけてきた
私は首をこてんと傾げて聞き返す
怜奈ちゃんは、じぃっとこちらを見ていた
私は居心地が悪くなって身じろぎする


「・・・壬琴は、潮江くん好き?」
「え?うん、好きだよ」


私はなんだそんなこと?と返す
怜奈ちゃんはどうしてか頭を抱えた


「あのね・・・私が聞きたいのはそういう返答じゃないんだけど・・・」


はぁ、と大きくため息をもらして、怜奈ちゃんは呟いた
私ははてなを浮かべて怜奈ちゃんを見る


「じゃあ、怜奈ちゃんはどんなことを期待してたの?」
「壬琴が恥じらいを持ちながら潮江くんを好きって言うこと」
「・・・即答だね」


怜奈ちゃんの即答具合に、私は苦笑をもらした

それにしても文次郎が好き、かぁ・・・


確かに、文次郎の隣にいるのは楽しいし落ち着くよ
他の人を手伝ったりしたいかって言われたら別に思わないし・・・
でも、文次郎がありがとうっていって笑って撫でてくれるのが好きなの


にこにこと笑ってそう言えば、怜奈ちゃんはなぜかぷるぷると震えていた
・・・なんでかな?



―――――
side:怜奈



この子、絶対自覚無い・・・!


私はそう感じた
だってさっき乗って惚気でしょ?
でもそうよね、向こうにいたときは私がひたすら牽制して、壬琴に近づく男はみんな成敗してたから・・・
気づかなくて当たり前、なのかな・・・?

純粋っていうか、恋愛初心者はいいけど、どうしたら自覚させられるかな・・・
私は考えて大変そうだとため息をついた





無自覚恋心!









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