もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ








【お母さん!】
【走りなさい!早く!】


私が生まれてから3ヶ月
既に人格があったせいか、走ったりし始めるのが早かったけれど、それでも大人のお母さんよりは遅くて
お母さんの毛皮は綺麗だから、高く売れるからって、人間が襲ってきた今、お母さんは私を生き残らせるために必死だった
後ろから銃の玉が飛んできて、当たらないように必死に森を縫って逃げる私とお母さん

お母さんはどこを目指しているのかわからないけれど、私は必死にその後ろについて走るだけだった



少し開けた場所に出て、お母さんは後ろを振り返った
私も釣られて振り返る
・・・・・・人の足音はしない
私はお母さんを見上げた


【このまま学園に行きましょう】
【学園?それってなに?】


お母さんはふふっと笑った
そして遠くに見えるかわらの屋根に鼻先を向けた


【あそこに見える建物が、忍術学園・・・人間の住む場所だけれど、動物を大切にしてくれる人が居るの】
【忍術学園・・・】


・・・それって、忍たま乱太郎の?
私はそう聞きたかったけれど、忍たま乱太郎って言ってもお母さんにわかるわけがないので、私はそれを口に出すことはなかった






"世界"を知った日










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