「・・・ん・・・ぅ・・・?」 「起きたか?」 「もんじろ・・・?」 声をかけられて、掠れた声で文次郎の名前を呼んだ 私、どうしたんだっけ・・・ 寝ぼけた頭で最後の記憶を探す 確か・・・文次郎と話してて、本当は言わないでおこうと思ってた事言っちゃって・・・・・・ そこまで思い出してかぁっと頬が熱くなった 私、文次郎にしがみついてないちゃってそのまま寝たんだ・・・ 本当は18歳なのに、15歳の子に泣きつくとか・・・恥ずかしいよね、私 ちらりと文次郎を見た 文次郎は、灯をともして帳簿の整理をしていた 布団にくるまったまま文次郎を見る ぼうっと見る文次郎は真剣な顔で、15歳には見えなかった ・・・きっと、むこうの世界で15歳なんてこんなにしっかりしてないだろう 私も15歳のときは、もっと遊んでて、大人になるのがもっとずっと先のことだと思ってた 18歳でやっと、あぁ、大人になるのってもうそんなに時間がないんだなって自覚が出てきたくらいで そこまで考えて、私は涙がでそうになった ・・・やだな、自分が凄くちっぽけに思える・・・ 自分の髪で、目で、人と違うからと卑屈になることはなかったのに だって文次郎はその違うところも含めて好きだって言ってくれた ハチだって、三郎だって雷蔵だって兵助だって勘ちゃんだって、会う人は皆綺麗だねってほめてくれて、別に蔑んだりしなかった 私はお母さん譲りのその色が好きで・・・だったらそれでいいんだよね 「文次郎ー」 「なんだ?」 名前を呼べば、振り向いてくれる 「あのね、私この学園にいられて、皆にお母さんから貰ったこの色を好きって言ってもらえて、この場所で生きれて、幸せだよ。気づかせてくれてありがとう、文次郎」 「・・・あぁ、どういたしまして」 えへへと笑いながらそういえば、文次郎も優しく笑ってくれた 私は、幸せ者です → 戻 |