side:文次郎 「この髪で・・・また迷惑かけちゃうんじゃないかなって、ちょっとだけ思っただけなんだよ。だから気にしないで」 壬琴は自分の長い横髪をつまんで、そういった 青みのかかった白という、普通は見られない髪と、海の外の国では珍しくはないが、国内ではなかなか見ないだろう青い瞳 それは格好の売り物になるんだろう 壬琴もそれを分かっている 俺は壬琴を腕のなかに引き寄せた 「文次郎・・・?」 「堂々としていろ、お前の色は、白銀から継いだ大切な色なんだからな」 誰がどう言おうと、俺はおまえのその色が好きだぞ、と言って頭を撫でた 壬琴は少し戸惑って、けれど撫でている内に体が小さく震えだした 「あのね・・・怖いの・・・お母さんからもらったこの色は好きだけど、みんなと違うから・・・前はずっと黒髪で、こんな綺麗な色じゃなかったから・・・」 拒絶されるのが怖い 違う私のせいで、優しくしてくれる人たちに迷惑をかけたくない でも一人では生きていけないから、そんな私が嫌になる そう言う壬琴に、俺は大丈夫だ、と言って撫でた 「俺を含めて、学園の奴らがおまえを拒絶するわけないさ」 みんな壬琴の事が好きなんだからなとそう言えば、壬琴はこくこくと頷いて、ぎゅうっと俺の制服にしがみついた 泣き疲れたのか、それとも悩んでいたことが解決して落ち着いて疲れていたのが出たのか・・・ 壬琴は眠ってしまい、俺は少し考えてから、部屋の近い俺の部屋に運ぶことにした ・・・仙蔵になにか言われそうだけどな 事務仕事は・・・運んだら吉野先生に伝えに行くか 俺は壬琴を起こさないように気をつけて、その場を後にした その寝顔は幸せそうで → 戻 |