文次郎とハチ、それにお母さんと蒼兄に助けられて、私は学園に戻った 帰ったら怜奈ちゃんに抱きつかれて、わんわん泣かれた ・・・またあえなくなったらどうしようかと思ったって 私、これ以上ないくらい愛され者だね 私は怜奈ちゃんを抱きしめていつかのようにごめんね、ごめんね、と呟いた 「居候の身にも関わらず、ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした」 「気にするでないわい、二人とも無事で何よりじゃ」 私は学園長に頭を下げた 本当に、今回は無事だったから良かったものの、私の髪と瞳の色は珍しいから、きっと今後も迷惑をかけてしまいそう 学園にいるだけなら良い、でも学園外に行く用事があったら?今回のように街に行くことになったら? 私はたくさんの人に迷惑をかけることになる、それを実感した 学園長の庵を後にして、私はぎりりと手を握った 食い込んだ爪が痛い それでも、人間の爪はとがっていなくて武器じゃないから、血が出るって程じゃなかった ぎゅうぎゅうと握った手はきっと白くなっていることだろう 「・・・壬琴ちゃん・・・?」 心配そうに私を覗き込む怜奈ちゃんに、私はにこりと笑顔を返した 上手く笑えていたのかは、知らないけれど ――――― side:怜奈 あの日から、壬琴の元気がなくなった 空元気で無理しているような気がする あの時がそんなに怖かったのかな・・・? 幼馴染としては心配なことこの上ない 「って感じなんだけど、仙蔵くん、潮江くんけしかけられない?」 「あいつが気がつかないと壬琴に話しかけないだろうからな・・・分かった、協力しよう」 私はあの日以降、潮江くんと壬琴をくっつけるため、潮江くんに近い立花くん・・・まぁ、今は仙蔵くんって呼んでるけど、仙蔵くんに話を持ちかけた 彼も気がついていて、面白いからと協力してくれることになったのだ 持つべきは協力者だね お陰で潮江くんにはっぱをかけるのは凄くやりやすい 私は仙蔵くんと別れると、気分よくおばちゃんの手伝いをするために歩き出した ・・・これで、壬琴も元気になってくれるよね・・・? 密かに協力する人は → 戻 |