目が覚めたとき、私には枷がはめられていた 「・・・・・え?」 「あぁ、目が覚めたか・・・また暴れられても困るんでな」 じゃらりと鎖が鳴った ・・・用意周到というか、なんと言うか・・・ でもこんなんじゃ、自分で抜け出すなんて無理だ ・・・怜奈ちゃんは、ちゃんと逃げられたのかな・・・ 後姿すら見なかったから、あの小屋で逃がした後、怜奈ちゃんがどうなったのかは分からない けれど、きっと怜奈ちゃんのことだから、うまくやってるんじゃないかと思う ・・・今は、どう逃げ出すか考えないと・・・ 「逃げ出す、とかは考えるなよ、あの小屋での一件で、力はないにせよどこかしらで何か武術を教わってることは分かってるんだ。・・・そうだな、身のこなしは忍者みたいだったが・・・図星か?」 「動きなんてしらない」 「・・・まあ、いい、そこら辺は関係ないからな」 男はふっと笑うと、お前を逃がさないように、人は雇ってあるんだ、無駄なあがきはやめておとなしくしておくんだなといって、視界から消えた ・・・そんな、おとなしくしておけといわれてしていられるほど、おとなしい子じゃないよ、私は けれど、今の状態じゃどうしようもないっていうか・・・せめて鎖が切れればどうにかできないことはない・・・と、思う はめられた枷で重量が増すから、一撃が重くなるし その分、機動力でどうにかしてたから動きにくくなるだろうけど・・・ そうは思っても、鎖を切る術を私は持ってない ぎりりと奥歯をかみ締めた ――――― side:文次郎 「アレか」 「・・・みたいです」 白銀と蒼が行き着いた先は、花街のはずれにある屋敷 確かあそこは前に調べる忍務があったはずだ その時は確か・・・ 「相当な綺麗所か、顔の良い珍しい姿ばかりを集めていたようだ」 「それは良くあることだろう、花街なのだから」 「それだけなら良かったんだがな・・・あそこは依存性のある薬を飲ませて、女が逃げないようにするらしい・・・」 いつかの仙蔵との会話がよみがえる まだ連れ込まれてそれほど時間は経っていないはず、薬も飲まされては居ないと信じたい 「壬琴・・・」 無事でいろ、と呟いたのは、無意識だった 嫌な記憶を思い出し → 戻 |