もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ






side:?


商人との会話が終わり、いざ買った子どもを連れて行こうとしたとき、その子どもがいきなり動き出した
子どもはもう一人いた女を外に逃がしつつ、商人に手刀を落として、俺の部下の鳩尾にけりを入れてそのままこちらにぶつけて来た
力自体はそれほど強くなく、俺自身に来た衝撃は男の体重一人分よりも少々重い程度だったが、子どもは俺を気にすることなくそのまま外に出て行った
どうやら意識がそらせればそれでよかったらしい
俺は受け止めた部下を乱暴に寝かせると、急ぎ外に出た

外では見張りについていた男が一人地面でもがいていて、遠目に女が走っていくのが見えた
子どもは別の男の頭を思いっきり殴っていた
軽い脳震盪でも起こしてるんじゃないのか、これ・・・
俺は子どもの意識が男に行っているそのうちに、手刀を入れた
かくんと崩れ落ちる小さな体
俺は地に落ちる前にその体を受け止めて、俺は呟いた


「まったく、世話をかけさせる子どもだな・・・」


軽いその体を担いで、俺はその場所を後にした



―――――
side:怜奈



「・・・っいない・・・」


私は呟いて、立ち尽くした
私が逃げる前までいた男達はそのまま倒れているのに、壬琴となんだか偉そうだった男だけいなくなっていた
私はあんまりこっちの時代を知らないけれど、アレは絶対に良くない人
もし・・・もしもう壬琴に会えないなんてことになったら・・・私は神様を呪ってあげる
それくらいに、私の中での壬琴は大きいんだから・・・!


「白銀、蒼、分かりそうか?」
竹谷くんが二匹に話しかけると、鼻を鳴らして答えた
どうやら大丈夫だって言うことみたい
私は足手まといだからって、ここで分かれることになった
ここからなら多分一人でも帰れると思うし、女は度胸よ!


「壬琴に何かあったら承知しないから!つれて帰ってこなかったらひっぱたいてやるんだから・・・!!」
「壬琴は助けるよ、絶対に」
「叩かれるのはごめんだからな」


竹谷くんは任せとけ!と笑って、潮江くんは仕方ないなと言うかんじで言った
・・・あれ、潮江くんって・・・もしかして・・・
私は二人を見送って、潮江くんの後ろ姿にくすりと笑った


「・・・・・大切にしてくれるなら応援してあげようかな、壬琴のためにも・・・」




気づくと可愛いその人










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