もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ









次に私が目を開けたとき、私はもふもふの毛に包まれていた
気持ちがよくて、毛に顔を埋めると、背中をペロリと舐められた
・・・え、なんで?
顔を上げると、底には犬・・・じゃなくて、狼の顔があった
私は悲鳴を上げた


「わふんっ」


つもりだった
え、あれ、わふん?
なんか犬が鳴いたみたいだったよ?
私がもう一度何か喋ろうとしても、わふんとかわふとかしか言わなかった
・・・ええと、これは・・・私、狼に生まれたって・・・ことですよねぇっ!?

私は頭を抱えたくなった

だって狼だよ!?生肉食べないといけないんだよね!?
それに死ぬ可能性だってあるし・・・何より・・・動物の世話ができない・・・っ!!

はたと考えをやめて、私は母親(なんだろう、たぶん)を見上げた
澄んだ青い瞳で、よく見たら綺麗な青白い毛並みをしている
美人さんだぁーと思いながら見つめていると、私はぺろりと顔をなめられた


【どうかした?】


母親・・・・の声がした
・・・そうだよね、今狼なんだもんね、言葉がわかってもおかしくないよね


【お母さん、あのね、信じてもらえないかもしれないけど、私人間だったときの記憶があるの】
【まぁ、そうなの?】
【そうなの、だから、たくさんいろんなことに驚くかもしれないけど、気にしないでね】


私がそういえば、お母さんは笑ってわかったわ、といってくれました
お母さん凄い!こんなこと言う子どもなんて、人間だったら名に言ってるのこの子、頭おかしいんじゃないので終わるのをちゃんと信じてくれたよ、懐広いよお母さん!
私は新しいお母さんが大好きになって、温かいお母さんのおなかに顔を埋めた


【お母さん、だーいすき!】





狼な幸せ








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