学園長には、許可をもらった 後は、怜奈ちゃんが居るのを良しとしない文次郎たちを説得しないといけない 「戻ってきたか、壬琴」 「事務、手伝ってもいいって」 文次郎たちと別れたところに戻ると、そこにいたのは文次郎だけだった 手を引いてきた怜奈ちゃんはぎゅっと私の着物の裾をつかんだ 「壬琴、お前はここにいたからまだいい、だがな、空から降ってきた得体の知れない人をおいて置くわけにはいかん」 怜奈ちゃんが背後でふるえた 私は安心させるように手を握る 「学園長先生は良いと許可を出してくれた。だから、文次郎に駄目と言われても私は怜奈ちゃんを此処に置くよ」 それが、たとえ利用されるために出された許可だったとしても この学園に女の子が居ないのは分かってる くのたまの女の子たちは恐怖の対象だから、恋愛なんてこの学園ではできない でも、何も知らない一般人なら 彼らの恋愛対象になる すなわち、忍びの三禁の一つである色に当たると言うこと忍者を育成する学校であれば、そういう感情を知らすために、私や何も分かってない怜奈ちゃんを使うのは分かる だって私だってそう思うから 利用されると分かっていても、この時代に安全な場所なんて無いなら、ここに留まっていた方が良いと私は判断したんだ 私は文次郎をじっと見つめる 文次郎は私が梃子でも意見を帰るつもりがないと見ると、勝手にしろ、と残して去っていった その後ろ姿を見送って、私は怜奈ちゃんに向き直った 「××、壬琴ってどういうこと?」 「こっちでもらった私の名前だよ。昔の・・・怜奈ちゃんが知ってる名前は、雑音になって聞こえないから、怜奈ちゃんも壬琴って呼んでね」 怜奈ちゃんは分かったと首を縦に振った 私は、どうしようかと思考を巡らせる 朝ご飯は食べてない、けど、今の日の高さから、まだ食堂はたくさん人が居るはず どうしようかと思っていると、廊下の角に気配を感じた 「誰っ?」 萌黄のかげ → 戻 |