side:雷蔵 僕が生物小屋を覗くと、青白い髪に空色の目をした女の子と視線がかちあった 女の子はきょとりとしてから、困ったように笑った その子はは体に布一枚を巻き付けた状態で座り込んでいて 僕は振り向いてハチに叫んだ 「ハチっ!いつの間に女の子連れ込んだのっ!それも部屋じゃなくて生物小屋ってどう言うこと!かわいそうでしょ!」 そういうとハチはぎょっと表情を変えて、ハチと居たほかの三人はきらりと目を光らせた・・・のは三郎だけだったけど、ハチを置いてこちらに走ってきた そして中に入ると、さっきの女の子は狼をぎゅっと抱きしめてこちらをじっと見ていた 「ハチにはもったいないな」 「と言うか、顔つきちょっと幼いよね」 「幼女趣味か?」 ・・・結構3人とも好き勝手言ってる というか、兵助が一番ひどいよね、幼女趣味って・・・ 女の子はぼそりと呟いて、その後叫んだ 「・・・っハチーー!」 大きな声にびくりと肩を震わせたハチだったが、女の子はそのハチと、僕ら全員を小屋の中へ招くと扉を閉めた 僕らが落ち着いたのを見て、女の子はため息をついて話し始める 「まずはじめに誤解がないように言って置きますけど、私はハチに連れ込まれたわけじゃないですし、ハチが何か悪いってわけじゃないんです」 ただ、私がここにいる理由はよく分からないんですけど、と付け足した そしてそれから彼女、もとい壬琴ちゃんが居る理由を話してくれた 「ってことは、昨日まで狼だったのに朝起きたら人間に戻っていた、ってことか」 「で、壬琴がどうしようって思っていたら、ハチが来た、と」 「はい、そうです」 三郎はおもしろくなさそうになーんだ、と言った そんな三郎に、ハチはお前なぁ、と疲れたように呟いた 僕はまあまあ、と宥める 「そういえば、壬琴は人間の間どうするの?ずっとここにいるわけにも居かないよね」 「確かに・・・、女だし、くのいちに混じらせてもらうって言うのは駄目なのか?」 勘ちゃんの言葉に、兵助が同意して打開案を出してみたものの、ハチと壬琴ちゃんは困り顔で、いつ戻るかわからない状態ではちょっと・・・と言った 兵助もそれを考えてなかったようで、あー、そうだな、と呟いた 「あの、事務のお手伝いってできませんか?」 「事務?食堂じゃなくて?」 「はい、私、料理は正直できなくて・・・。文字と計算は得意なので、事務を。重要書類なんかもやっぱり扱うと思いますから、もしよければ、なんですけど・・・」 不安そうに、言葉尻が小さくなった 表情もなんだか不安そうだ 僕らはみんなで顔を見合わせて、壬琴ちゃんに笑いかけた 「大丈夫、どうにかするよ」 その言葉に、壬琴ちゃんは嬉しそうに笑った 働く場所をください → 戻 |