もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ








ぞわりとした寒気と共に、私は目が覚めた
朝の光が差し込んで、小屋は既に明るい


「・・・・・・・?」


違和感
私は起き上がろうとして、いつもの体じゃないことに気がついた
青白い毛で覆われた腕じゃない
肌色の人間の肌


「・・・え?」


ばっと下を見れば、肌色が見える
・・・・ただし、狼だったから布の一枚も纏ってないんだけど
ぐるりと小屋の中を見渡しても、何も服になるようなものは無くて
少し途方にくれていると、お母さんがいないことに気がついた
あの青白い毛並みは見当たらない
すると、後ろの小屋の扉が開いた
まずい、そう思った
だって忍術学園で女の子なんてくのたまくらいしかいないはずで、生物委員に女の子はいなかったから、忍たましかいない
そんな中でこんな姿は目に毒過ぎる

顔だけ後ろを見れば、そこに立っていたのはハチで


「・・・え」
「・・・・・・・」


ハチの後ろから顔を出したのは青白い毛並みのお母さんだった
どこからか持ってきたのか、白い布をくわえている
それを私に渡してくれた受け取ると、私はすばやく目に毒な体を隠して、お母さんをなでた


「ありがとう、お母さん」
【どういたしまして】
「え、お、お母さん・・・?」


私は立ち上がると、後ろで状況が飲み込めてないハチに向き直る


「ええっと・・・」
「あの・・・誰?」
「・・・狼の・・・壬琴です」


一拍置いて、ハチはは?と声を上げた
うん、私でもありえないと思うもん
実際、どうしてこうなったのか、まったく分かっていないのだから
私たちのやり取りに目が覚めた他の狼たちが私を見て一つほえた
それは警戒とかじゃなくて・・・


【壬琴、いつの間に人間になったんだ?】
【狼のときと雰囲気が変わってないね】


などと言った感じで好意的だった
そんなに分かるものなのかな・・・
私って分かりやすい?
と聞けば、声を合わせて凄く、と返された




動物って敏感?








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