もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ








【・・・文次郎、私がんばる、がんばって克服する、それで文次郎の役に立つよ】
「そうか、無理はするなよ」
【うん、また遊びに行くね】


私は少しだけすっきりした心で、文次郎にそういって、擦り寄った
文次郎もまた来いと言って、私の頭をなでてくれた







私がそっと小屋に戻ると、お母さんが起きていた


【壬琴】
【お母さん・・・】
【忍狼の訓練は辛いでしょう?もし・・・もしあなたがもう少し大きくなって、一人で生きていけると思ったら・・・】


ここをでて、野生の狼になりない
お母さんはそう言った
私はその言葉にふるふると顔を横にふる


【出て行くつもりはないよ、だってみんな優しいし、私お母さんみたいになりたいもん】
【そう・・・】


お母さんは心配そうにそう呟くと、おやすみなさいと言って私の顔を一舐めした
私もおやすみと返して、お母さんの横に丸まった




明日、私は生き物を殺しに行く
私は狩られる動物から狩る動物になるんだ




虚勢をはる









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