もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ








仙蔵くんと一緒に今回の作戦を考えているとき
なんだか少し仙蔵くんの顔がぼやけたような気がして
でもすぐにそれはなくなったから、気のせいかと思っていた



けれど、それが私の体の限界を知らせるサインだったなんて、思いもしなかったの




「それじゃあ、それで行くか」
「今の情報からして、これでいけるはずだけれど、それはこちらに届いている情報だけだから、現場での調整はよろしくね、仙蔵くん」
「あぁ、心得た」


仙蔵くんはまたな、と手を振って、私もまた、と返して自分の部屋に戻った
忍務は今日の深夜に出発して、2日で終わる予定だったと思い返して、せっかくだから夜見送ろうかと思った
なぜだか、そうしたい気分だったの




「みんな」
「篤葉?」
「え、なんでここに居るんだ?」


夜、みんなが寝静まった深夜に、私は門の前に居た6人に話しかけた
案の定、6人ともビックリしていて、私はいたずらが成功したように笑った


「いつもは、みんながんばってるのに私は作戦を立てることしかできないし、それをむこうで直すこともできないから、せめてお見送りにって思ったの」


本当に、気が向いただけなんだけれど、と付け足せば、6人は少し笑った
私も釣られて微笑んで、いってらっしゃい、気をつけて帰ってきてね、と声をかけると、各々に返事をして、6人は忍務に赴いた
私はそれを見送って、長屋に戻ろうときびすを返した


「・・・!」


足に力が入らなくなって、地面に膝をついた
視界がぼやけて、とても平衡感覚を保っていられない
たまらず私はその場に蹲った


「・・・っ・・・」


結局私は、そのまま意識を飛ばした



――――――
side:教員


学園を見回っている途中、私は校門の前になにか蹲っている影があるのに気がついた
曲者かと警戒しつつ近づけば、それはくのたまの生徒だった


「朝日奈!?」


急ぎ起こせば顔は蒼白で、気を失っていた
私はこれは一大事だと、医務室に急いで連れて行った




誘う手は誰のもの







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