もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ





side:小平太


バレーをおもいっきりしたあと、怪我をした金吾を連れて医務室に行くと、いさっくんと留が居て
こちらに振り向いた顔は少し強ばっていた


「いさっくん?留?」
「あ、小平太・・・また怪我させたの?」
「お前はもう少し手加減って言葉を知れよ・・・」


いさっくんは苦笑して道具を用意し、留は呆れたようにそういった
私は唸って、これでも手加減はしているぞ!と反論した
何故だか金吾は少し青い顔でばっとこちらを見たが

そんな様子にいさっくんははい、ストップ、手当するから金吾くんはこっちね、と私の腕の中にいた金吾を手招きした


「小平太は手加減を知らないから大変だろ?」
「そ、そんなこと・・・」
「ないっ!」


金吾の言葉尻が小さくなったので、私が大きく否定すると、留はおまえには聞いてないっと言った
そんな私たちを横目に、いさっくんは金吾の手当てを終わらせていた


「はい、終わり」
「ありがとうございます!」
「汚れちゃってるから、お風呂入っておいで」


いさっくんが金吾を送り出して、医務室は3人だけになったすると、いさっくんも留もなんだか怖い顔をして、私をみた
私は居心地が悪くて、すこし身じろぎした


「な、なんだ?」
「小平太、正直に言ってね」


じっと私を見たいさっくんが話を切りだした
私はなんだか重要な事なんだろうと固唾を飲んだ


「小平太は篤葉の事好きだよね?」
「なんだそんなことかー、当たり前だぞ」
「で、それは恋愛感情としての好きでいいんだな?」


留の言葉に、私は瞬きした
篤葉の事は好きだし、勿論愛してるのか否かと言われたら自信を持って愛してると答える自信はある
だって1年生からずっとなんだ、当たり前だろ?

けれど、それを今聞くというのはどういうことなんだろうか
何かあるのか?


「どうなんだよ?」
「恋愛感情だ、でもなんで・・・」
「お願いだから小平太、篤葉ちゃんにそれ言ってあげて」


いさっくんも留も、なんだか焦ったように、事を急いでる感じを受けた


「けど・・・「迷うな、迷った時間の分、お前は篤葉と居られる時間が減るんだよ」・・・それは、どう言うことなんだ・・・?」
「篤葉ちゃんが体が弱いのは周知だろうけどね、もう篤葉ちゃんの命は残り少なくて・・・」



卒業まで、持つか分からないんだよ―――



私は、いさっくんの言葉に目を大きく見開いた




カミングアウトは唐突







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