もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ





side:留三郎



「なぁ、伊作」
「どうしたの、留さん」
「・・・小平太、なんか篤葉のこと避けてないか?」


少し沈黙して、そういえば・・・と伊作は呟いた
まぁ、篤葉だけじゃなくて、伊作も避けてるような節があるんだけどな
二人が並んでいるときは尚更だ
俺なんかからしたら、伊作と篤葉は兄妹にしか見えないんだが、小平太にとっては違うらしい


「あ、長次、小平太」
「・・・―――」
「分かった、私は先に校庭に行ってるな!」


噂をすれば、だが、小平太はこちらにこないで、バレーボールをもって校庭に行ってしまった
長次はこちらに歩いてきて、俺と一作の側まできた


「どうしたの?」
「・・・小平太が・・・篤葉が伊作を好きだと勘違いしている」
「え」


伊作は長次の言葉に驚いた顔をして、俺はやっぱりか、と呟いた
それを聞き逃すことなくばっとこちらを振り向いた伊作


「留さんしってたのっ?」
「いや、確証があった訳じゃなかったからな・・・」


伊作はそれでも教えてくれればいいのにっ!とこぼした
俺はそんな伊作に苦笑する


「俺から見れば、伊作と篤葉は兄妹にしか見えないからな」「僕も自分でそう思う、むしろあれだけ心配してると親になった気分だよ・・・」


俺の意見に長次も頷き、そんな俺たちに、伊作も苦笑いしながら同意したのだった



勘違いのすれ違い







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