もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ








「篤葉ちゃん?どういうこと?」


にっこりと笑う伊作くんの顔が怖い
私は気圧されて腰が引き気味だった


「え、えっと、だって、その・・・」
「どうして無理は禁物だよっていったのに、睡眠時間が3時間なのっ!?」
「ご・・・ごめんなさい・・・」


嫌な予感がしたから、先生に聞いてみたら案の定これなんだから!と怒りながら、伊作くんは私に説教した
私は返す言葉もなく、ただ伊作くんの言葉を甘んじて受けるだけ


「あのね、篤葉ちゃん、何も勉強しちゃ駄目とは僕も言わないよ。でも、自分の体をもっと大切にして、そうじゃないと、本当に卒業する前に・・・」
「・・・・・・」


私は心配だと心から叫ぶ伊作くんに申し訳なかった
私が体調を崩せば心配してくれて、看病してくれる
伊作くんも大変なのに、私だけわがままなんて言ってられないんだ・・・


「ごめんなさい・・・ちゃんと、気をつけるね」
「今日は1日寝て、とにかく体力の回復につとめること!分かった?」


私は伊作くんにこくんと頷き返した
その様子にやっと安心してくれたのか、伊作くんは笑って頭をなでてくれた
私はその動作に、子供じゃないんだから、と言いながらも、手を退けようとはしないで、受け入れていた



―――――
side:小平太


「・・・篤葉・・・」


医務室にまたいるというのを聞いて、顔を見に行こうとしたとき
いさっくんが篤葉に怒っているのが見えた
入るのも気まずいからと外でそっと待っていたら、なんだか二人の雰囲気がやわらかくて
私はそっと医務室を後にした



それはまるで兄妹のように







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