もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ









放課後に、私はいつものように定位置に行こうとしたけれど、長次に用事があって、図書室に行くことにした
図書室に入れば、独特の本のにおいが私を包む
図書委員がいるカウンターを見れば、不破くんがいたけれど、長次は居ないようだった
仕方がないから、食堂で待てばいいかなと思い、私は図書室に来たついでに、座学の授業で習った毒物の本を読み始めた
毒薬は使いようによっては毒じゃなくなるので、面白いと思う
伊作くんとは仲がいいから、実際に薬を見る機会があるし、毒草も栽培してたりするから、それを使って薬を作ったりするのを一緒にやる
そこら辺は、くのたまらしいよね、ってよく言われるけれど・・・
私はくのたまなのに、みんな変だよね?


しばらく熱中していたら、いつの間にか閉館時間になったみたいで、不破くんに肩を叩かれた


「先輩、閉めますよ」
「あ、教えてくれてありがとう」


私は不破くんに頼んで、読んでいた毒についての本と、その他に兵法の本を借りた
貸し出し処理のときに、不破くんの顔がちょっとだけひきつってたのは、毒についての本を使った対象が自分たちになりかねないからかな・・・?
心配しなくてもそんな事しないのに・・・

私は一度長屋に戻ると、本の代わりに実家から送られてきた手紙を持って食堂へ向かった
食堂に入り、ぐるりと見回せば、緑色の集団が見えた
私はそこにあるいていけば、伊作くんと留三郎くんが気づいてくれた


「珍しいな、この時間に篤葉が居るの」
「いつも早いよね?」
「長次に用事があったんだけど・・・まだ来てないみたい?」


少し不思議そうに聞いてきた伊作くんと留三郎くんに、私が返すと、仙蔵くんが完結に答えてくれた


「ろ組は実習だったからな、今日は遅いんだろう、小平太が一緒だろうしな」
「そっか・・・ありがとう」
「用事か?」


文次郎くんに、私は頷いて答えると、でも居ないならいいよ、おばちゃんにご飯貰ってくると言ってそこを離れた



―――――
side:小平太



「疲れたー!早く飯にいこう、長次!」
「あぁ」


実習を終えて着替えてから、私たちは食堂に向かった


二人が再開であう少し前








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