もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ





side:小平太


長次の幼馴染を、私はこの間初めて見た
でも"初めて"というのは少し違うかもしれない
1年生の時に、一度だけ、会話したことがあるのを篤葉は覚えているんだろうか?



私が忍たまの長屋を探検していると、くのたまの長屋で忍たまの長屋のほうをじぃっと見つめる女の子がいた
桃色の制服に、くのたまの子だとわかったけれど、私はまだくのたまの怖さを知らなかったから、普通に話しかけた


「どうしたんだ?」
「わたし・・・おさななじみにあいたくて・・・」
「名前はなんていうんだ?」
「篤葉・・・朝日奈 篤葉・・・あなたは?」
「私は七松小平太だ!」


そういうと、篤葉は私に笑いかけた
その笑顔に私はなんだか恥ずかしくなって、ちょっとだけ視線をさ迷わせた
篤葉はそれを不思議に思ったのか、こへいたくん・・・?といって私を見ながら、こてん、と首を横に傾けた

私はそれが凄く可愛いと思えて、がしり!と篤葉の手をつかんで・・・


「篤葉!だいすきだ!」
「・・・わたしもこへいたくん、すきだよ?」


でも、どうして?といいながらこてんと首をまた倒した篤葉が凄く可愛くて
きっとこれが一目惚れってやつなんだな!と思った


―― 篤葉、篤葉ー?
「あ・・・ともだちが呼んでるから・・・ごめんなさい、わたし、行かないと・・・」
「・・・また、会えるっ?」
「きっとあえるよ、だっておんなじしきちの中だもん」


またね、こへいたくん
そういって友達のもとに向かった篤葉を、私はその姿が見えなくなるまで見送った





あのときに、私は篤葉に初恋をした
今までずっと、篤葉が仙蔵と一緒に指揮をとってるって言うのは知ってたけれど、顔を見るのはその最初のときぶりで
医務室で見たとき、成長して、大人びていたけれど篤葉だってわかった
でも、記憶にある篤葉よりも、ずっと細くなっていた気がして
昔よりもずっと力の強くなった私が抱きしめたら、すぐに折れてしまいそうだった




けれど二目惚れをしたのは確かだった







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