もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ






side:数馬


「数馬ー・・・・・・」


委員会が終わった凛がふらりと医務室へ来て僕にくっついてきた
一緒にいた伊作先輩は、仲がいいねと笑っていた


「数馬ー、数馬数馬数馬ー・・・・」
「僕は居なくならないよ?」
「でも僕が名前を呼びたいの」


凛は不安定に僕の名前をただ呼ぶ
僕も大丈夫だよ、と返す
先輩はそんな僕らに何か思ったのか、何ともいえないような顔をして、けれど何も言わなかった


「凛、大丈夫、大丈夫だよ」


凛が不安なときは僕が大丈夫だって言うから、僕がダメなときは凛が大丈夫って言ってくれるよね
僕はそう思いながら、凛の背中をぽんぽんとなでた
凛は僕に抱きつく腕がぎゅうっと力が増した
少しきつく感じたけれど、苦じゃなかった
だって、それは僕らの絆の強さのようだったから



―――――
side:凛


医務室で邪魔になるのは分かってたけど、数馬に会いに行った
入れば数馬が先輩と一緒にいて、でも僕はお構い無しに数馬に抱きついた
そして名前を連呼する
そこに居ることを確かめるかのように
数馬もわかっていて、ちゃんといるよ、と返してくれる
欲しい言葉をくれる数馬、僕も数馬が寂しいときはそばに居るよ、だから今はこうさせてね
そう思いながら僕はぎゅっと数馬に抱きつく腕の力を強めた
数馬は大丈夫、と言いながら僕の背中をなでてくれた




固い絆、それは・・・









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