もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ









僕はお使いにでていて、その時をしらなかった
学園長先生が、金楽寺の和尚様に手紙を届けて欲しいと言って、僕に手紙を預けられた
往復で3日だったから、作兵衛も三之助も左門も孫兵も藤内も、行ってらっしゃいって送り出してくれたんだ
だから帰ってきたら、みんながおかえりって言ってくれると、そう思ってたの



でも現実はそうじゃなくて
おかえりって言ってくれたのは数馬だけだった


「おかえり、凛」
「数馬・・・かずまっ、ただいま・・・っ」


どうしていないの、なんでみんな迎えてくれないの
そんな疑問は、寂しそうに迎えてくれた数馬には聞けなかった
でも僕はただ、まだ帰る場所があることに安堵して、数馬と二人で名前を呼び合って涙を流した




始まりなんていらなかったのに












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