もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ









「疲れた・・・」
「うん・・・」


今日一日、なぜか天女様は僕らにこれでもかと言うくらい話しかけて
僕らはすっかり気分が悪くなってしまった
でも天女様に酷く当たると、きっと藤内も作兵衛も三之助も左門も孫兵も僕らを叱るから、嫌な顔なんてできないけれど
放れていってしまった彼らをまだあきらめ切れない僕らは本当に惨めだね


「ねぇ、数馬・・・僕、もうダメかもしれないよ・・・」
「凛、凛がだめになったら僕は誰にすがればいいの?」
「一緒に壊れてしまえばいいよ、そうすればずぅっと一緒だもの」


僕が名案だとでも言うように笑うと、数馬も疲れた顔でそうだねと笑った
僕は灯に手をかざした
赤い血が流れているのが見える


「あかい、なぁ・・・」


灯に照らされて、僕の手は赤かった
それはまるで血が僕の手にまとわりつくかのように


「あはははっ」


ねぇ、手がこうやって赤く染まったら・・・・・・そしたら気は晴れるのかな?
数馬は笑って、どうだろうね、と言った
数馬の瞳に移る僕は、とても楽しそうな顔をしていた




その瞳に狂気を宿す









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