もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

清明


「睦月くーん」
「ん、なんですか?」


同室になったタカ丸さん(4年だけど15歳らしいから敬語なんだよ)に呼ばれて振り返ると、タカ丸さんが目を輝かせていた
・・・なんか俺やったっけー?
んー?と思い起こしていたけど、考え終わるよりも前に答えはタカ丸さんから言われた


「髪、切らせて!」
「あ、いいですよ」
「やったぁっ」


睦月くんふらーっとどっかいっちゃうからなかなか良い出せなかったんだよねー
とニコニコしながらタカ丸さんが言った
そうか、俺そんなにふらふらしてたかー
まあ、タカ丸さんも誰かに教えてもらいに言ったりとかしてたし、今までは学園生活に慣れるためにばたばたしてただろうから、なかなか一緒に居るって言うのなかったもんなー

タカ丸さんは鼻歌を歌いながら俺の髪をとかしている
・・・俺そんな髪の手入れしてないんだけどなぁ・・・


「睦月くんの髪って不思議だなぁ」
「ん?なんで?」


睦月くん、あんまり髪の毛気にしてないでしょ?
でもなんかむしりたくなるぐらい悪い訳じゃなくて、むしろ結構いいんだー
とはタカ丸さん談
そうか、俺の髪はそんなにいたんでないのか
なんだか言われるとうれしいなー

タカ丸さんと話しているうちに、何だか気持ちよくて、ウトウトしてきた
でも話してるのに失礼だなって思って我慢していると、後ろのタカ丸さんのふにゃりとした声がした


「眠いなら寝てもいいよー、僕も満足したからー」
「ん・・・ありがとう・・・ござ・・・い・・・」


そうして俺は眠り、意識はそこで途切れた



―――――


「うーん・・・睦月くんて可愛いよねぇ」


喜八郎くんも滝夜叉丸くんも三木ヱ門くんも綺麗な顔してたけど、睦月くんはどっちかって言うと綺麗より可愛い
何だか喋り方とか雰囲気がほやほやしてるんだよねー、僕がいえた事じゃないけど

あ、丸くなった
なんか猫みたいだなぁ



晴明

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