もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ

立春





「久ぶりだなぁ、戻ってくるの」


俺はそう呟いて、見えてきた忍術学園にいる友を思った


「絶対元気だな、うん・・・」


むしろあいつ等元気じゃなかった方が驚くなー・・・
でも俺が戻ったらあいつら驚くかなー、それは楽しみだ
俺はふっと笑うと懐かしの我が学び舎へと足を進めた



―――――


門を開ければいつものごとく小松田さんが入門表を持ってきた


「入門表にサインしてくださぁーいっ!・・・ってあれ、睦月くん?」
「お久しぶりですー、小松田さん」
「わー、久しぶりだね、1年くらい?」
「ですねー」


小松田さんの持っている入門表に名前を書くと、俺はそのまま学園長先生の庵へ足を運んだ
あ、小松田さんは相変わらず吉野先生に怒られてるみたいである意味安心したよ
あんまり変わってないね、ここは
変わられてたらそれはそれで悲しいんだけどさ・・・


「学園長先生、志度です」
「お?おぉ、久しぶりじゃな、入りなさい」
「失礼します」


俺が襖をひくと、記憶にあるままの学園長先生が座っていた
ヘムヘムも健在だ


「ヘムっ!」
「おぉ、久しぶりだなぁ、ヘムヘム、元気にしてた?」
「ヘムヘム!」
「それはよかった」


俺は飛びついてきたヘムヘムをなでると、正座をして学園長先生に向き直る
学園長先生は俺を見て一言言った


「復学、かの?」
「えぇ、まあ・・・。師匠が少々野暮用ができたから一年くらいこっちにいろといわれまして」
「今までふらりと帰ってきたときもきちんと勉強しておったからな、4年でよいじゃろう」


学園長先生は笑うと、しっかりと1年、この場所で学びなさい、といってくれた
俺はありがとうございます、一年間、よろしくお願いいたしますと頭を下げ、久々の学園を見るために庵を後にした



立春
(始まりは春の季節)

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