大暑 「ん?おー?」 じぃっと見つめるのは顔に縦線の入った井桁模様の制服の子 彼も俺をじぃっと見つめて、俺たちは廊下の日陰で見詰め合っていた 「お前らなにやってるんだよ」 「・・・あ、留先輩」 「すごいスリルぅー・・・」 声をかけられて二人して視線をそっちへやると、6年生の食満先輩が居た 俺は留先輩と呼んでいる 実は1年生のときにお世話になったのだ、主に俺がどっかいくと留先輩が見つけてくれたというよくわからない縁だったけど 「なんか見てきたら俺も見返してただけで・・・」 「すっごいスリルだと思ったので見てました〜」 「なんだかこの一年生面白いですよねー」 留先輩は俺と一年生を見て、大きくため息をついておまえらなぁ・・・と呟いた 大方話しかみ合ってねぇと言いたいんだろうが、俺もそれは分かってたりする 「先輩とってもスリルです〜」 「しってるー」 留先輩はこいつら大丈夫かって目を向けてるけど 俺もこいつも楽しいんだ 「あ、そうだ、名前は?」 「鶴町伏木蔵ですー。先輩は?」 「俺は志度睦月、よろしくなー、伏木蔵」 はーい、と返事をする彼改め伏木蔵をひょいと抱っこすると、伏木蔵はすごいスリルぅ〜と言いながら喜んだ 隣に居る留先輩は既に諦めて、それでお前らがいいならいいんだけどな、と言って俺と伏木蔵に飴玉をくれた 舐めたら飴玉はイチゴで甘かった 大暑 ―――― きっと彼らは熱くてもマイペース |