妹背の君 「ねぇ、大好きよ」 「知っているさ、そんなこと」 どれだけ一緒にいると思っているんだ? ふ、と仙蔵がわらった 私もそのセリフに、そうね、と笑って仙蔵の背中に寄りかかった 「私達、来年は・・・ここには居ないのね」 「・・・あぁ、そうだな」 なんだか寂しい・・・と、そう呟いた 6年間、ともに過ごした思い出が、記憶が、すべてこの場所に置いていかれそうで、なんだか卒業するのが怖かった 「怖がるのはおまえらしくないな、茜」 「だって・・・卒業したら、私達はみんな別の道を歩むわ・・・どこかでここで一緒に学んだ友を殺さないといけないかもしれない」 もちろん、仙蔵も・・・と呟き、私はぎゅっと自分の膝を強く抱きしめた 怖いのだ、友を殺すことになるかもしれないことが 何より、仙蔵を殺さないといけなくなるかもしれないと言うことが・・・ 「きゃっ・・・」 寄りかかっていた私を、仙蔵が体を動かすことで倒された 私は突然のことに驚いて小さく悲鳴を上げた 仙蔵はそんな私をみて笑った 私はいじわるね、と呟いて仙蔵をちょっとだけ睨んだ 「茜」 「なに・・・っ・・・」 名前を呼ばれたと思えば、仙蔵から口吸いが降ってきた 不意打ちで上手く息ができず苦しくて、私は仙蔵を小さく叩いた 「・・・っはぁ・・・なんだか唐突ね」 「茜、私はお前を愛している」 「知ってるわ」 仙蔵はあぁ、といってから私の耳元で囁いた ― 学園を卒業したら、私と夫婦にならないか ― その言葉に私は目を見開いた そしてとびきりの笑顔でいったのよ ― もちろん、喜んで ― 妹背の君 戻 |