あなたはただ私の手を握って、 きっと、出会ったのは偶然で 思いが通じ合ったのも奇跡で それだけで幸せだった それ以上は、望めないと思っていた だって私はくノ一で 貴方は忍者で 私たちは共に道具でなければならない定め いつ敵対し、互いに殺しあうのかも分からない それを自覚し、近づいてくる敵対の二文字に覚悟を決めながらもぬるま湯に使って怯える 常に苦楽を共にして、定められた戒めさえも破って それでも忍者であろうと、くノ一であろうと私たちは一歩学園の外へ出るたびに心を殺した 守るものがあれば、道具になどなれない 主を守ることが出来ない 主を守ることこそが忍者の、道具としての価値 それなのに 「・・・茜」 「長、次・・・」 貴方は私にくノ一としての使命を果たすことを良しとしてくれない 名前を呼んで、私を引き止めて 命を落とすことが惜しいと、そう思わせてしまう それが愛ゆえであり、もってはいけない感情であると知りながらも、それでも彼を愛してしまうのは、私が未熟だからだとも分かっている 茜と名前を呼ばれて 腕を掴んで引き止められて 手を握って、私を行かせてはくれない長次 その小さく私の名前を呼ぶ声が その大きな身体で私を引き止める行動が 言葉無いままに、私を大切だと叫ぶ 「長次、私、は・・・」 「茜」 しっかりと、私の名前を呼んで 手を握ったまま、私を見つめる長次に、私は目が離せなかった 握る手の力が少しだけ強くなって 私は彼からもう逃げることなど出来ないと悟った 私はもう、逃げられない、忘れた振りなんて出来ない この胸にある想いからも、彼自身からも 「長次、逃げて、ごめんなさい・・・っ」 彼が握ったままの手を、両の手で握り返して 逃げられないこの想いを、一度認めてしまえば、もう戻れない 長次は静かに首を振ると、私を引き寄せて、宥めるようにぽすぽすと頭を撫でた 「・・・もう、どこにも行かないでくれ」 「ずっと居る・・・どこにも行かない、から・・・っ」 ずっと傍に居て、死なないで その言葉は、重なった影に消えた あなたはただ私の手を握って、 ――――― スライディング土下座でも何でもします、ホントこんなのですみません・・・! 正直長次のキャラをつかめていない私でして、喋らない長次ってどうやってあらわせばいいんだ・・・!とものすごく悩みました ご希望に添えていたならば幸いです リクエストありがとうございました! 雛月様のみお持ち帰り可です 【title by】 確かに恋だった 様 戻 |